男性因子による不妊(男性不妊)について part1 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 不妊症の夫婦の場合、周囲からは女性側に原因があるようにみられがちです。しかし実際には男性側に原因がある場合も多くあります。広範囲な疫学調査は行われていませんので正確な頻度は不明ですが、男性側に問題があるのは50%くらいといわれています。そして、こうした男性側に問題がある不妊症を男性不妊と呼んでいます。

 精巣で造られた精子は精巣上体・精管を経て精嚢に貯留されます。そして、前立腺由来の分泌液とともに精液を構成します。精液は性的絶頂期に射精されます。これらの機能のうち1つでも障害されると男性不妊の原因となります。

A)男性不妊症の分類とその原因疾患
 男性不妊症の原因は、その病態から以下の4つに大別されます。

(1)造精機能障害精子の形成や成熟ができないことです。
 特発性造精機能障害(約63.2%)・精索静脈瘤(約25.1%)・染色体異常(約2.3%)・精巣炎・停留精巣などがあります。
 染色体異常では、 Klinefelter症候群(約1.7%)が最も多くなっています。

(2)精路通過障害精子の輸送経路が傷害されていることです。
 先天的な発育不全・精管炎・精巣上体炎などがあります。
 造精機能が正常な、これらの閉塞性無精子症は約4.9%でみられます。

(3)副性器障害精嚢・前立腺の炎症により精子が影響を受けることです。
 前立腺炎(約0.9%)・精嚢炎などがあります。

(4)精機能障害性交または射精ができないことです。
 性交障害・射精障害などがあります。
 精機能障害が原因となることは約2.2%です。

 男性不妊の中では造精機能障害が最も多く、全体の70~80%を占めています。

人気ブログランキングへ

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村