妊娠高血圧症候群の頻度 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 妊娠時の高血圧病態は全妊婦の7~10%程度に存在するといわれています。その中には種々の高血圧病態が含まれています。全妊婦に占める妊娠高血圧腎症の割合は2~7%です。同様に慢性高血圧合併妊娠(偶発合併症)は1~5%です。

 つまり、妊娠時高血圧病態のうち妊娠高血圧腎症を含む妊娠高血圧症候群が約70%を占め、残りの約30%が慢性高血圧合併妊娠とされています。慢性高血圧合併妊娠の約90%が本態性高血圧合併妊娠で、残る10%が続発性高血圧合併症妊娠であるといわれています。

 続発性高血圧の原因疾患では、甲状腺機能亢進症・全身性エリテマトーデス(SLE)・褐色細胞腫・腎血管性高血圧・腎性高血圧などがあります。

 子癇発作の頻度ですが、0.2~0.5%程度といわれています。妊娠子癇が40~55%で最も多く、次いで産褥子癇が多く25~45%、最も少ないのが分娩子癇で15~35%といわれています。妊娠子癇・分娩子癇・産褥子癇の頻度は統計によりばらつきがあります。また、妊娠中と分娩中あるいは分娩中と産褥期の双方で子癇が起こった場合、どちらに入れているかでも統計は違ってくるようです。ちなみに正しいのは両方に入れることです。

 周産期管理が向上した昨今では妊娠子癇と分娩子癇は著明に減少してきています。

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