周産期(母体・胎児)専門医試験の対策 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

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 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 私自身は周産期専門医試験に無事合格し周産期専門医(母体・胎児)となりました。しかし、試験問題は過去問が公開されていません。そのためどんな問題が出るのかがわからず、どのような勉強・対策をしていけばよいのかも分かりませんでした。ネットで検索してもヒットしてきませんでした。

 そこで、今回は周産期(母体・胎児)専門医試験にむけてどのような勉強・対策をしていけばよいものなのかを自身の経験を交えて後輩たちのために記録に残しておきたいと思います。

 まず、周産期専門医試験には周産期(母体・胎児)専門医と周産期(新生児)専門医に2種類があります。一般的には産婦人科医は周産期(母体・胎児)専門医となりますし、小児科医は周産期(新生児)専門医となりますが、どちらを目指してもよいようですし、両方を取得することも可能なようです。現時点では両方の専門医となった人は1人しかいないようです。(まだいないと思っていましたが、H23.3.とある方から情報提供いただき1人いると教えていただきましたので加筆しました。)ところで、受験資格を満たすための施設因子や学会出席・発表・論文執筆は頑張るしかないでしょう。そして、書類作成も力業で頑張ることになります。残念ながらここは力になれません。

 そして、筆記試験の対策です。おそらく合否に関わる最もウェイトが高い部分は筆記試験と思われます。この試験を受けて資格をとる産婦人科医はほとんどが総合周産期センター・地域周産期センター・大学病院に勤務していると思われます。したがって、日常の診療をエビデンスに基づいて行っていればさほど苦労することはないでしょう。カンファレンスや抄読会で最新の知識も共有されていることかと思います。しかし、そこは筆記試験です。細かい数値も問われますし基礎的な病態に関する問題もでますので、可能ならば少しは勉強など準備されるとよいかと思います。
 
 まず試験問題ですが、試験の案内に問題は90問とありますが、後半の10問は長文問題で1問につき設問が3つずつあり、これで30問ですので、実際は解答するのは110問ということになるわけです。すべて5択のマークシート方式です。これを120分で解答するわけで、時間的には一通り解くだけで90分近くかかりました。時間的にはあまり余裕はありませんでした。周産期(母体・胎児)専門医であれば長文問題はすべて産婦人科領域です。一方、周産期(新生児)専門医では長文問題はすべて小児科領域です。また、前半の問題も母体・胎児と新生児に分かれた産婦人科・小児科の問題がでます。この範囲であればさほど苦労することなくいけるかと思います。ところで、問題の中盤に約30問の母体・胎児と新生児の共通問題があります。周産期(母体・胎児)専門医・周産期(新生児)専門医いずれの受験者にも共通で出題される問題です。産婦人科医にとっては小児科・小児外科の問題はきついでしょうし、小児科医にとっては産婦人科の問題はきついはずです。しかし、共通問題は産婦人科医にとっては産婦人科の問題は容易であったため、小児科医にとっては小児科・小児外科の問題はたやすいのでしょう。合格ラインは不明です。面接・小論文・レポートとあわせての総合評価らしいです。

 そこで、周産期(母体・胎児)専門医にかぎって、経験を踏まえてやっておくと良さそうなことを書いておきます。産婦人科領域においては、まず日本産婦人科学会から出されている産科診療ガイドライン2008を読むことです。来年は産科診療ガイドライン改定されて2011がでるようなので、これを2周りくらい読んでおくのがよさそうです。こちらは数字を意識して読みましょう。必要な部分は暗記することも大切です。次に、遺伝関係の問題がとても多い印象でした。この点は成書である程度の知識と代表的な疾患の遺伝形式を覚えておくのが良さそうです。他、私自身は産婦人科シークレットと胎児診断・管理のABCを読みました。この際に細かい数字にはとらわれすぎないのがポイントと思います。

産婦人科シークレット/北井 啓勝

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胎児診断・管理のABC 4版/森 巍

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 この試験を受ける頃には医師となって少なくとも9年目以降になるかと思います。多くの場合、5択のマークシートの試験なんて久しぶりということになるのではないでしょうか?私自身は医師国家試験の対策本であるクエスチョンバンクの問題も一通りみてみました。今回は小児科・小児外科の問題対策はしていなかったので産婦人科の産科部分だけを解いて、解説をよみました。意外にも忘れている知識があって、知識の再確認や復習には最適でした。試験の選択肢にもこの本の中でみたものがいくつも出ていました。もしかするとこれが一番の対策かもしれませんし、最初にすべき勉強なのかもしれません。自分は出来ませんでしたが、この小児科(新生児だけでよいと思う)・小児外科部分もみておくとよい対策になるのではないかと思っています。確かvol.4が小児科・産婦人科と思います。

クエスチョン・バンク医師国家試験問題解説2011 vol.4/著者不明

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 産婦人科の専門医試験を受ける人たちが使う日本産婦人科学会が出している産婦人科の必須知識2007という分厚いオレンジ色の本は、この試験対策には役に立ちそうもありません。誤解がなきよう追加しますが産婦人科専門医の試験にはこの本が必須です。

 小論文についてです。前もって出題されるテーマが3つ示されています。このうち1つが当日出題されます。前もって下調べしておけば時間内にまとめることは難しくないでしょう。この対策はテーマが分かってから下調べするのみで十分です。

 以上、自身の経験をもとに思うところをまとめてみました。参考になれば幸いです。

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