石原直樹選手の浦和移籍が決定 ~特別な思いを胸に | サンフレッチェ会

石原直樹選手の浦和移籍が決定 ~特別な思いを胸に

石原直樹選手の浦和レッズへの移籍が正式発表されました。
早い段階で『決定的』と報じられたにも関わらず、今回の発表は既に浦和への移籍が発表されている高木俊、武藤、橋本、ズラタンよりも後。
広島は複数年契約の提示を行い、サポーターも『紫の石原直樹が見たい』というメッセージも送った。
最後まで悩んだようですが、最終的には浦和への移籍を決断しました。

2011年大宮での直樹のリーグ戦出場時間は僅か855分。
立ち位置としてはまさにスーパーサブでした。
広島はチュンが移籍したことで空いたFWの穴を埋めるべく、前年出場機会の少なかった直樹に対して大宮時代の年俸2400万を600万上回る3000万円のオファーを提示。
直樹の試合に出たいという欲望と相まって見事に獲得にこぎつけることに成功しました。
まずは改めて広島強化部の仕事ぶりを称賛したいですね。

広島入団後、2012年はリーグ戦32試合出場し1784分ものプレー時間を得ました。
浩司が万全ではない間、レギュラーとして穴を埋め見事に優勝に貢献。
2013年は33試合出場しスタメンを勝ち取ると、J1では初の二桁得点をあげるなど自身のキャリアハイと言っていい最高のシーズンを迎えました。
中でも優勝を決定づけた最終節鹿島戦でのゴールはクラブ、サポーター、直樹自身にとっても忘れられないゴールではないでしょう。
2014年は途中で離脱するアクシデントもありましたが、2年連続で二桁ゴールを記録し、過密日程に苦しむチームを牽引してくれました。
1トップでもシャドーでも対応出来る選手ですし、寿人とも公私共に良いコミュニケーションがとれているようで、本当に広島に合っている選手だなという印象です。

浦和の今オフは来季の過密日程を見据えて積極的な補強に出ています。
ただでさえポジション争いは簡単ではないところに、更にポジションを争う選手が増える。
中国新聞では直樹の1トップでやりたいという思いもあったとされていましたが、直樹の持ち味を活かせるのはシャドーだと個人的には思っています。
ここ数年広島を出て行っている選手以上に、一人のプレーヤーとして浦和に行くことが本人のためになるのかと考えた時に、やっぱり広島で頑張って欲しかった。
家庭の事情かもしれないし、金銭的な条件かもしれません。
金銭的なことが決定的ではなくとも、恐らく広島の条件を浦和の条件が上回ってくる以上、そこはまだ広島のクラブとしての力の無さを認めないといけないし、広島に良い選手が来てくれ、良い選手を引き留められるように頑張っていかないといけません。

しかし、問題は移籍先で、また浦和かという話です。
先日ミシャが『広島から取ったつもりはない。私の子供を連れてきただけだ』と語り話題を集めました。
これはこれでどうかと思いますが、直樹はミシャチルドレンでないにも関わらずこういう引き抜きをされた。
毎年毎年毎年広島の選手を掻き集めることで単純に浦和の戦力補強にも繋がりますが、一方でライバルとなる広島を戦力ダウンさせる意味合いもある。
それを主眼に置いてないとしても、実際広島は主力を抜かれれば他クラブの選手をしっかりスカウティングした上で獲得に動かないといけません。
代わりがいればいいんですが、広島の特殊なシステムへの適合能力も問われます。
今までは抜けた穴を見事に埋める、むしろそれ以上の働きをしてくれた選手たちのおかげで連覇を果たすことに成功しましたが、それは広島フロントの能力の高さによるものです。
決して大きいとも言えない日本のマーケットの中ではどうしても代わりのいない選手もいます。

そして浦和はサンフレッチェ広島に関わる全ての人が特別な思いを持つクラブです。
選手においては特にキャプテンの青山は浦和に対する特別な思いを隠そうともしないし、メディアで『これ以上の引き抜きは勘弁してください』というような発言をしてくれていますが、それは特別な広島愛があるからこそなんだと思います。
しかし、それは全ての選手が持っているものではありません。
何十年とチームと向き合うフロントやサポーターと、数年間クラブに所属する選手との間には多少の温度差は仕方ないのかもしれません。
でも、一サポーターとしては少しでも選手と思いを共にしたいと願っています。
去年浦和に移籍していった周作は浦和を特別な相手だと言ったし、浦和には負けたくないと言ってくれた。
ただ、ああやって浦和に行ってしまった以上はその特別な思いの温度差を感じる。
その距離を埋めるべく今以上に広島の選手に対して真っ直ぐに声は届けないといけません。

久保竜彦は横浜FMに移籍する際に『広島の出す条件を全てのんでください』と言った。
そうしてほぼ満額の3億近い移籍金を残して広島を去ったにも関わらず、もう2度と広島には戻れないと思っていたと語っています。
当時とは移籍制度が異なるとはいえ、今でもクラブに何かを残そうと思えば残すことは出来る。
それが出来れば将来は広島に戻って来られる可能性もあるし、フロントもサポーターもそこはしっかりと注視しています。
しかし、なかなかそういう状況にはならない。
改めて移籍していった選手の顔を思い浮かべても、出て行った選手たちはみんなもう広島には戻らない、戻れないという道を覚悟を決めて選んで行ったと思うとやっぱり寂しい。
愛着を持って応援していた選手を応援出来ないことが悲しい。
もう今日から直樹を応援することが出来ない。
嫁が今年買った直樹のユニフォームはお蔵入りだし、車に貼っている直樹のリボンマグネットは差し当たり反対にして9を6に…。(これが結構違和感無い!)
広島の石原直樹が好きなのであって、浦和の石原直樹が好きなのではありません。

まぁこれで広島愛を全面に出して戦ってくれる選手をより好きになるだけの話ですし、その選手たちともう一度一番高いところを目指すだけ。
浦和へ移籍して行った選手たちも浦和へ行ったら広島に関わる人達がどういう思いをするのか分かっていると思う。
それでも行ってしまうんだから正直広島舐めらてんなーとも思うから本当に悔しい。
こういうことが起きる度に広島がもっと良いクラブになればいいと思っているし、広島を出たことを絶対に後悔させてやりたいと思う。
この流れを止めるためにはミシャ体制の崩壊しかないし、ミシャも来年タイトル獲れなかったらさすがに解任でしょう。
だったら広島が全部タイトル獲ってやればいい。
来年は広島と浦和という関係性においても分岐点となるシーズンにこっちからしてやりましょう。
特別な思いを胸に。