　ユリウス・カエサルは、共和制ローマ末期の政治家であり、軍人・文筆家です。（紀元前１００年生まれ・紀元前４４年没。）　

　ユリウス・カエサル（ジュリアス・シーザー）の「人は見たいものしか見ない」という言葉は、確証バイアスという人間の性質を突いた名言です。

　今から2000年以上昔に、ユリウス・カエサルは「自分にとって都合の良い情報ばかりを無意識に集めてしまう」という人間の性質を感じ取っていたことになります。

　インターネットで容易に情報を手に入れることができる世の中だからこそ、ユリウス・カエサルの「人は見たいものしか見ない」という言葉を頭の片隅に入れておきたいものです。

　思い込みや先入観で、自分の都合のよい情報ばかり集めて判断するのではなく、幅広く情報を集める必要があります。

　根拠やデータを調べてみたり、違う角度から考えてみるのも、客観的な判断に繋がります。

　確証バイアスにより「自分は正しいのだ」と思い込んで、偏った判断をしてしまわないようにしたいものです。

　確証バイアスによる判断ばかりでは、差別や偏見につながります。

　確証バイアスの例をいくつか挙げてみたいと思います。

まず、一つは「血液型占い」です。

　というイメージがありますが、血液型による性格診断には根拠がありません。

　ですが、私達は血液型によってこういったイメージを持ってしまいます。

　血液型占いの情報を元に、イメージや思い込みで人柄や性格を決めつけてしまうという確証バイアスの例です。

　2つ目の例は、「高学歴の人は仕事ができる」というイメージ。

　「高学歴の人は仕事ができる人である」というイメージがありますが、100人中100人が万能ではありませんし、その人に合う職種でなければ能力が発揮できないこともあります。

　実際に優秀な人物であるかは、成果による判断が必要です。

　「高学歴」という情報によりイメージや思い込みでその人を判断するのです。

　3つ目に、「高齢者ドライバーの運転」です。

　「高齢者の運転は危ない」と思ってしまいますが、免許保有者10万人あたりの交通事故件数を見ると、一番多いのは「16～19歳」、二番目に多いのは「20歳から24歳」です。

免許所有者10万人当たりの事故件数は16～19歳が1075.4件と飛びぬけて多く、次いで20～24歳の595.5件、85歳以上の522.4件が多いです。35歳～69歳はほぼ横ばいですが、70～74歳から事故率が上がります。75～79歳となると25～29歳と同等の事故率となります。

　このように人間は自分が見たもの、感じたことにのみ目が行って、信じてしまう動物のようです。

　なので自分はこう思うに一度疑ってみることも大事なのではないでしょうか。

　私も脳出血で左片麻痺の障害が残った時、「人生終わった」と思いました。

　その時に市民病院の看護師長さんから「加藤さん、なに弱音を吐いているの、命があっただけ儲けものでしょ、あとのことはかすり傷と思いなさい。」

　今思えばこの言葉にも見たい物しか見ていなかった自分に対する看護師長さんの愛があったのです。

　今、自分の人生に行き詰まり、辛い思いをしているあなた、それってあなたが自分の都合で不幸だと思い込んでいるだけかもしれません。

　そんな時は一度立ち止まって、「これって本当にそうなんだろうか」と自問自答する時間を持つことも重要なんだと分かってください。

　以前の記事で興味深いものがありましたので紹介します。

人は見たいものしか見ない・人は自分の望むものを信じたがる｜ユリウス・カエサル