稽古は主に、沖縄古流の型である。
といっても、型の稽古をしているのではない。
型で稽古しているのだ。
これは師匠の言葉だが、しびれた。
及ばずながら、それが実感できる。だから続けることができる。
今でこそ、型を黙黙とまた嬉々としてくり返している僕だが、もともとそんな資質をもっていたワケじゃない。
師匠が読んでいないことをいいことにハッキリ言うが、型なんてバカにしていた。
「型やって何なんねん?」だ。
現に、空手や格闘技に興味すらない素人の人でも、そう思ってると思う。
僕もそう思っていた。
バカにこそしてはいないが、リスペクトの気持ちは微塵もなかった。
そんな僕の空手経験は、大学入学とほぼ同時に入会したフルコン系の空手サークルだ。
格闘技をやると決めていた僕は、様々な武道系の部やサークルを見学・体験した。
と、いっても、総合格闘技やK-1がまだなかった頃(芽生えのまだ手前ぐらい)なので、柔道とレスリングとアマボクシングは格闘技よりスポーツ競技のイメージが強くてこの3つは見学すらしなかった。
どの部へ体験に行っても必ず、最初か最後は「好きなようにかかってきなさい」タイムになる。
僕は、浪人時代ウエイトトレーニングをしまくっていたので、体重が90キロ以上あった。たいていの武道系の先輩方は、そんな僕が「好きなように」すると、明らかに扱いに困っておられる。最終的には当然、僕はやられるのですが、手こずっておられるのがアリアリとわかるし、失礼かとは思いつつ、やられる方向へ志向してしまうことも時おりありました。
そんな中、凄いな!と強さを感じたのは、相撲とアメフトでした。
どちらも見事に吹っ飛ばされました。その衝撃は想像を超えていました。実際、車にぶつかられたような衝撃で、恐怖を感じました。
逆に言うと、武道系の方は少々残念な気持ちしかもてなかったのです。(後々、素人のデカい奴が闇雲に暴れたら、なかなか手に負えないことがわかりますが、当時は…ね)
で、当初の目的から外れまくりで、なぜかアメフト部入部に気持ちが傾いていたそんなある日。
偶然寄った学舎の屋上で、A会館というフルコン系のサークルが練習をしておりました。
5人と少人数ですが、全員色帯です。黒帯が1名、茶帯が2名、緑帯が2名でした。その5人がものすごい気合で組手をやっていたのです。圧倒されました。
で、後日、体験させていただきます。目がさめたのか、アメフトは断っていましたので入る気満々での体験です。最後は例によって、「好きなようにかかってきなさい」タイムです。
しかし、今までと勝手が違います。得意の身体を活かした突進も、重いパンチも、当たる前に捌かれてしまします。スっといなされ、頭を下げられます。それでも踏ん張って攻撃しようとすると、「参ったせな知らんぞ」と言われます。意味がわからない僕は、参ったをしません。その意味がわかるのは何度か同じ状態で同じ注意をされてからです。
頭を下げられたと同時にガーンと鼻に衝撃が…。血の嫌な匂いと、溢れてくる涙で動きを止めてしまいました。「参ったは?」と遠くで聞こえるのですが、リアクションがとれません。次の瞬間、たぶん、膝の裏を蹴り払われたのでしょう。足の痛みとともに、尻餅をつく衝撃が加わりました。
「まいりました~!」とヘタレ丸出しの声で叫んだのを覚えています。
同時に「強っ!」と、求めていたものと出合った嬉しさも感じていました。
何をされたのかわからないほど鮮やかでした。おまけに、先輩に余裕があります。要するに、捌かれて自由を奪われた時点で勝負ありだということです。
といって、捌かれないように適当な距離をとっていると、蹴りの餌食です。面白いように色んな蹴りが飛んできます。どこか効いて、動きが止まったら、つかんで倒されるか蹴りで払われるか…で、固い床にたたきつけられることになります。やられた感が半端なくて本当に怖かったのを覚えています。
後で聞いた話しですが、僕より前に、K会館の経験者が体験にくると聞いていたらしくそれを僕だと勘違いされていたようです。だから、濡れ衣的に僕は特別思い知らされたわけです。結局、そのK会館の人はきませんでした。
当時の主将の方針らしく、当たりの強い弱いは多少あるものの、引退されるまで1年間、体験者はボコボコにやられるのが恒例になります。
ちょっとした空手ブームでもあり、ひっきりなしに見学者や体験希望者が来ていましたが、僕の同期はほぼ1年間1人から増えることはありませんでした。
つづく
といっても、型の稽古をしているのではない。
型で稽古しているのだ。
これは師匠の言葉だが、しびれた。
及ばずながら、それが実感できる。だから続けることができる。
今でこそ、型を黙黙とまた嬉々としてくり返している僕だが、もともとそんな資質をもっていたワケじゃない。
師匠が読んでいないことをいいことにハッキリ言うが、型なんてバカにしていた。
「型やって何なんねん?」だ。
現に、空手や格闘技に興味すらない素人の人でも、そう思ってると思う。
僕もそう思っていた。
バカにこそしてはいないが、リスペクトの気持ちは微塵もなかった。
そんな僕の空手経験は、大学入学とほぼ同時に入会したフルコン系の空手サークルだ。
格闘技をやると決めていた僕は、様々な武道系の部やサークルを見学・体験した。
と、いっても、総合格闘技やK-1がまだなかった頃(芽生えのまだ手前ぐらい)なので、柔道とレスリングとアマボクシングは格闘技よりスポーツ競技のイメージが強くてこの3つは見学すらしなかった。
どの部へ体験に行っても必ず、最初か最後は「好きなようにかかってきなさい」タイムになる。
僕は、浪人時代ウエイトトレーニングをしまくっていたので、体重が90キロ以上あった。たいていの武道系の先輩方は、そんな僕が「好きなように」すると、明らかに扱いに困っておられる。最終的には当然、僕はやられるのですが、手こずっておられるのがアリアリとわかるし、失礼かとは思いつつ、やられる方向へ志向してしまうことも時おりありました。
そんな中、凄いな!と強さを感じたのは、相撲とアメフトでした。
どちらも見事に吹っ飛ばされました。その衝撃は想像を超えていました。実際、車にぶつかられたような衝撃で、恐怖を感じました。
逆に言うと、武道系の方は少々残念な気持ちしかもてなかったのです。(後々、素人のデカい奴が闇雲に暴れたら、なかなか手に負えないことがわかりますが、当時は…ね)
で、当初の目的から外れまくりで、なぜかアメフト部入部に気持ちが傾いていたそんなある日。
偶然寄った学舎の屋上で、A会館というフルコン系のサークルが練習をしておりました。
5人と少人数ですが、全員色帯です。黒帯が1名、茶帯が2名、緑帯が2名でした。その5人がものすごい気合で組手をやっていたのです。圧倒されました。
で、後日、体験させていただきます。目がさめたのか、アメフトは断っていましたので入る気満々での体験です。最後は例によって、「好きなようにかかってきなさい」タイムです。
しかし、今までと勝手が違います。得意の身体を活かした突進も、重いパンチも、当たる前に捌かれてしまします。スっといなされ、頭を下げられます。それでも踏ん張って攻撃しようとすると、「参ったせな知らんぞ」と言われます。意味がわからない僕は、参ったをしません。その意味がわかるのは何度か同じ状態で同じ注意をされてからです。
頭を下げられたと同時にガーンと鼻に衝撃が…。血の嫌な匂いと、溢れてくる涙で動きを止めてしまいました。「参ったは?」と遠くで聞こえるのですが、リアクションがとれません。次の瞬間、たぶん、膝の裏を蹴り払われたのでしょう。足の痛みとともに、尻餅をつく衝撃が加わりました。
「まいりました~!」とヘタレ丸出しの声で叫んだのを覚えています。
同時に「強っ!」と、求めていたものと出合った嬉しさも感じていました。
何をされたのかわからないほど鮮やかでした。おまけに、先輩に余裕があります。要するに、捌かれて自由を奪われた時点で勝負ありだということです。
といって、捌かれないように適当な距離をとっていると、蹴りの餌食です。面白いように色んな蹴りが飛んできます。どこか効いて、動きが止まったら、つかんで倒されるか蹴りで払われるか…で、固い床にたたきつけられることになります。やられた感が半端なくて本当に怖かったのを覚えています。
後で聞いた話しですが、僕より前に、K会館の経験者が体験にくると聞いていたらしくそれを僕だと勘違いされていたようです。だから、濡れ衣的に僕は特別思い知らされたわけです。結局、そのK会館の人はきませんでした。
当時の主将の方針らしく、当たりの強い弱いは多少あるものの、引退されるまで1年間、体験者はボコボコにやられるのが恒例になります。
ちょっとした空手ブームでもあり、ひっきりなしに見学者や体験希望者が来ていましたが、僕の同期はほぼ1年間1人から増えることはありませんでした。
つづく