『真夏は燃えている』抄録の前に
[1] 暴飲
夏季は,新陳代謝がたいへんに活発になるものです。炎天下30分間近く待たされてようやっと店内に入り,まぜすばなどを喰す際には,先ず冷水を身体内に摂り入れますが,一気に500mLくらいを経口で服用することもあるそうです。
あまりに忙しないと,冷水であっても,後頭部にほんのり痛みを感じることもあると申します。ところが,冷水が身体に齎す快感には抗えませぬ。後頭部の痛みはややこいですが,ほんの十数秒間ほどで消失すると言います。
次に問題になるのが,このまぜすばの喰し方なのですが,上に「温玉」が乗っている場合がままあります。
どぎゃん味なのかは全く想像もできんのですが,横浜在住時に猫児(マオア)(名作『ヴァンピアーズ』におそらくは第5巻から登場の呪術使いのリルの御方)が調理し供していたとされる「酸湯魚(スァンタンユィ)」というトマトの魚鍋のことも,この夏季にはとてたまに気になります。
実は,最初からこの「温玉」をつぶして混ぜてしまうと[味が均一]になってしまうのではないかという危惧から,喰の前半部においては,「温玉」を温存したのです。ところが,これは常に既に命取りでありました。
[2] 暴喰
味的には「今ひとつ」〜「今ふたつ」くらいの状態で喰を進めておったのですが,「温玉」をつぶして混ぜた途端に,激(劇)的に味が変わった(旨味が増大)がです。唐突に現れたまったりとした濃厚な旨味は,極太麺の歯触りまでも変えてしまいます。そして,喰のスピードが突如1.4倍強くらいにアップします。旨味の増大と喰のスピードは,場合によっては比例する場合があります。
そして,喰のスピードには快感が伴います。つまり,ここから暴喰が始まったのです。
明治時代の横浜に於いて,猫児(マオア)が最高級品のカステラを暴喰してしまったのも,そのとてたまな味に要因があることは間違いないとしても,一方でこの喰のスピードが齎す快感に身を委ねてしまったからに他ならないのではないか,などと僭越ながら思う次第です。
[3] 暴暴喰飲
「温玉」に塗れた極太麺を喰す際にも,冷水を湯水のように摂取します。この暴暴喰飲の連鎖が快感&快楽を齎すのです。こうなると,ユクリ味わって喰うではなく,とにかく勢いに任せてばしばし喰すことに専念するしかありませぬ。
30分間待たされたのに,喰にかかった時間は10分間に満たん,なんてこともありがちではありまするが,暴暴喰飲の快楽を前にしたら,仕方のないことしかなかったのです。
100年以上も前のカステラ暴喰のことを猫児(マオア)は気にしておった節がありますが,カステラを喰われた当の旅の御方(アリア様)はすっかり忘れておったようです。
[4] 『真夏は燃えている』 抄録
おそらくは1972年に発表された青山一也さんが歌唱した楽曲『真夏は燃えている』は,51年間が経過した2023年の盛夏に聴いても,なかなかに暑苦しくてとてたまです。
【抄録】
Eb Bb Cm Bb Ab Bb Ab Bb7 Fm Bb7 Ebm
真夏は全べてを燃やすです 恋を炎にするがです 今がそうです差異ザンス