僕は家に帰ってすぐにシャワーを浴びた。
換気扇の回る音とシャワーが頭に当たる音で防水携帯から流れるweezerの音はなにも聴こえない。
ライブハウスからでた後の耳鳴りはもうやんでいたが、狭いバスルームに鳴り響く水と電子音は決して心地よい響きではなかったのでまた居心地が悪かった。
「はあ」
僕はため息をこぼして今日という日になんだか疲れていた。
安らげる場所に行きたい。
疲れをとるために入った風呂からもすぐに出て体を拭きリビングのソファにもたれかかった。
「お疲れさま」
「ああ、本当に疲れた。体力的にというより、精神的に疲れた。」
なんかあったの。と彼女は僕に訪ねるが、僕は思い出すだけでもいやな気分になるので彼女に悪いなと思いながらもシカトした。
冷蔵庫から缶ビールを取り出して一気に飲み干してその日は眠りについた。
夢にすらも前日の最悪のライブを再現されたので寝起きにして僕は死にたくなった。だからといってどうせ死にはしないだろう。
横で彼女が寝返りをうつ。
「どうせ今日も憂鬱な一日だ」
カーテン越しにも朝空が赤く燃えているのがわかる。今日は雨だな。
カーテンにはスズメらしき鳥の影が3つある。ベランダに止まっているみたいだ。
本当に何なんだろうか。寝起きにして今日の天気は雨ですよ―、と知らされる。
今日も一日憂鬱ですよ、土砂降り真っ黒けですよ―。
悪夢を見た後にそんなことを言われて気持ちのいい人間なんていないだろう。
ふざけている。
この世はいつでも僕のことを馬鹿にしている。そんな気分だ。
本当は僕を中心に世界は動いているのではないかと疑ってしまう。
というよりも僕に対してのみ世界は興味を持っているのではないか。
「たまには良いこともしてくれ世界よ。」
また眠気がしてきたので僕は素直に欲望のままに布団を被って眠りについた。
「この間パチンコで勝たせてやったじゃねえか(笑)」
と隣に鼻に花の生えた男が笑いながら言って消えた。
はっはっは~イェ―イベイベー☆
その後空が雲に覆われて確かに雨が降り出した。
「凄い雨だ」寝ぼけまなこの彼女は呟く。
スズメの影はまだ1つだけそこにある。
「この雨で君のわだかまりも流れてくれたらいいなあ。ねっ。」
彼女もまた眠りについた。
部屋にも雨の音が落ちてくる。
包むように。全てを流して。
シャワーのように。

