あのころの僕は、完全に「一発逆転」を探していた。
2018年の話だ。それまで主力にしていた収入源がある日を境にガタッと落ち込んで、月の収益が3分の1以下になった。焦りというより、正直パニックに近かった。毎朝スマホを開いては「月収100万円 副業」「すぐ稼げる 在宅」みたいなワードで検索して、なんかすごい方法があるんじゃないかってずっと探し続けていた。
今思えば、あの数ヶ月は本当に時間を無駄にしていた。
「一発」を探しているとき、人は判断力を失う
焦っているときって、怪しい情報に引っかかりやすくなる。これは自分の経験からも、コンサルで相談を受けてきた方々を見てきた中でも、繰り返し確認してきたことだ。
あるとき、30代の男性(仮にKさん)からDMが来た。「高額塾に入ったけど成果が出ない、次の方法を探している」という内容だった。話を聞いていくと、その1年間に3つの"高額コンテンツ"を購入していた。合計で70万円近く。しかも、どれも途中でやめている。
なぜやめたかというと、「もっと良さそうなものを見つけたから」というのだ。
これが一発逆転思考の典型的な罠だと思っている。「今やっていることより、もっと効率のいい方法があるはずだ」という感覚が抜けないから、何をやっても途中でやめてしまう。結果として、どれも積み上がらない。
僕が立て直せた理由は「地味なほうを選んだから」
2018年の失敗から這い上がれたのは、正直なところ「すごいこと」を始めたからじゃない。それまで後回しにしていた地味な作業——既存のコンテンツの見直し、検索意図に合わせた構成の修正、読者からの反応を一つひとつ拾い直すこと——を、ひたすら続けたからだ。
3ヶ月ぐらいは数字がほとんど動かなかった。あの時期は本当につらかったし、「やっぱり違う方法を試すべきか」という誘惑が何度もあった。
でも、結果としてその地道な積み上げが半年後に少しずつ形になってきた。劇的な逆転ではない。じわじわ、という感じ。でもそのじわじわが、今の自分の土台になっている。
「一発逆転を狙わなかったから立て直せた」というのが、正直な振り返りだ。
一発逆転思考が生まれる「本当の原因」
なぜ人は一発逆転を求めるのか。単純に「楽をしたい」だけじゃないと思っている。
多くの場合、「今やっていることへの自信のなさ」が根っこにある。
地味な作業を続けていても「これで本当に合ってるのか?」という不安が消えない。だから、派手な成功事例や「○ヶ月で○万円」という話に引き寄せられてしまう。自分のやっていることへの確信が持てないから、外の刺激に答えを求めてしまうわけだ。
これ、僕自身が2018年にハマっていたパターンそのものだった。
「積み上げ」の何が強いのか
一発逆転を狙って手法をとっかえひっかえしているうちは、何も残らない。でも地味でも続けていると、スキルが残る、データが残る、信頼が残る。
コンサルで成果が出た人を思い返すと、共通しているのは「特別な方法を使っていた」じゃなくて、「同じことをしつこく続けていた」という点だ。もちろん成果には個人差があるし、続けたからといって必ず結果が出るという保証はできない。ただ、少なくとも僕が見てきた範囲では、途中で何度も手法を変えた人より、一つのことをきちんと積み上げた人のほうが、後から振り返ったときに「やってよかった」と言っていることが多い。
「今すぐ変えたい」という気持ちと、どう付き合うか
これは焦りを否定したいわけじゃない。焦りは正直、エネルギーになることもある。
ただ、そのエネルギーを「新しい方法を探す」に使うのか、「今やっていることの精度を上げる」に使うのか、で結果がかなり変わってくる。
僕が今、副業を始めた方や伸び悩んでいる方に話すとき、最初に確認することがある。「今やっていることを、もう3ヶ月続けたらどうなると思いますか?」という質問だ。これが答えられない人は、たいてい「続ける根拠」を持っていない。つまり、自分のやっていることをまだ理解しきれていないか、信じきれていない状態だ。
一発逆転を探す前に、今の方法の「続ける根拠」を作ること。それが先だと思っている。
地味なほうが、実は近道
タイトルに書いた「一発逆転を狙わないほうが、結果的にうまくいく」というのは、精神論じゃない。仕組みとして、そうなりやすい、ということだ。
積み上げは複利的に効いてくる。途中でリセットすると、その複利がゼロに戻る。だから遠回りに見えて、実はやめないことが一番の近道になる。
2018年に焦って検索しまくっていた自分に言えるとしたら、「派手な方法を探すな、今やることの精度を上げろ」の一言だ。
成果には個人差があり、うまくいくかどうかは状況や取り組み方によっても変わる。それでも、一発を探し続けることが最も遠回りだ、というのは、自分の失敗と、たくさんの相談者を見てきた中での、正直な実感だ。
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