もう、5年も前の夏の夜の事でした。
私は、国分寺のとある公園で、友人達と「芝見会」と名付けた集まりを、度々開いていたのです。
 「芝見会」とは、日の暮れる夕方頃から始発が始まる早朝までの間、各々でお酒や食べ物を持ち寄り、公園の芝を観ながら楽しく時間を過ごす事を趣旨とした集まりでした。
 集まる人数はいつも少なく、そもそも大規模な集まりでもなかった芝見会を、私達はその日も開いていたのです。

 集まった全員が、翌日は休日で、特に予定も無く、天気も晴れで流れる風も涼しかったと思います、そんな事で皆、気分良く楽しい時間を過ごしていました。

 夜も更けた2時位の時です、国分寺在住の友人がこんな話をしてきました。
「この公園の便所には出るんだよ、昔っから地元のヤツらの間じゃ有名な話なんだ」
 季節は夏で、そういった怪談話をする時期にはピッタリですし、私達はその手の話に関心があったので、場は盛り上がり、何があるのかや、何が出るのか、誰がどうなったのかなど質問するとその友人は、こう話ました。

 「あそこの便所の男子トイレの1番奥にある個室は天井まで壁が黒く煤けてる、その煤けてる理由は俺が小学生の時くらい、そこの個室で焼身自殺をした奴がいるから」
 「焼身自殺をしたとか、そこで寝ていたホームレスを焼き殺したとか諸説あるが、あそこで人が焼け死んだってのは確かだ、俺は事件当時兄弟とチャリに乗って見に行ったからな、パトカーとか救急車とかえれー来てて、周りの大人達も人が焼け死んだらしいって言ってたよ」

 私達は黙ったままその友人の話を聞き続けました。

「それから、あそこの便所には鏡が無い、手洗う所のさ、アレがねーんだ。理由は手を洗ってる時にその鏡に幽霊が映るから、だからあの便所の鏡は撤去された、当時の小学生たちがこの噂でパニックになったからな」
 「行って見てこいよ、全部ホントだから」

 その話を聞いた私達は全員でその公衆トイレを見にいく事にしました。
 行って見てみると、1番奥のその個室には使用禁止の貼り紙がされていて入る事が出来無くなっており、確かに見える限りの天井と壁が黒く煤けているようでした、手洗い場の鏡もそこにもともとあったであろう痕跡を残したまま撤去されていました。

「全部ホントだろ、ココは正真正銘の心霊スポットなんだよ!俺が言うんだから間違いないって!」
話をしてくれた国分寺在住の友人はそう言って、私達は正直半信半疑ながらも黒く煤けた天井や、撤去された鏡の痕跡の生々しさに薄ら寒いものを感じながら帰り、また芝見会を続けていたのです。


続く!



9/3サムライストリッパー武蔵境スタットにてGIG!!