すでにご承知の通り、本年2月1日より、メーターパネル内の各種警告灯 点灯及び点滅がある車両は継続車検が受検できなくなっております。

 

 

特に「エンジンチェックランプ エキゾースト警告灯」について、その意味や仕組みが分からずに、自動車屋さんやネットにて情報収集するも未だに明確にご理解されていない方も多いように感じます。

(特にSNSで書き込まれる「自称クルマ好き」のコメントは非常に的外れなモノが多過ぎますな。それを素直に信じる方も可哀想ですが、、、)

 

 

まずは、新車時取扱説明書の「エンジンの故障とエキゾーストシステム」のページを開きましょう。

 

そこには、「エンジン制御 EPC」や「触媒コンバーター」や「エキゾースト警告灯」云々と書かれてますよね。

 

 

それを読むと眠たくなりますから、読まなくて良いです。

(因みにそこには、「面倒臭いからビビらせて、とにかくディーラーへ持ち込みなさい」とメーカーの大人の事情が書いてあります。)

 

それを頑なに信じて「だって取扱説明書にはエキゾースト警告灯が点灯したらスピードをゆるめて、すぐに近くの正規ディーラーへ持ち込んでください って書いてあります!」って仰られる方は、信じる通りに行動してください。別に改心する必要もなければ、以下の文章を読むことを強要している訳でもございませんので。

 

 

 

アホの坂田はほっておき、読解力に自信のある方のみ引き続き読み進めてください。

 

 

 

さて、ではどの様な目的で「メーター内の各種警告灯」が装備されているのか、、、

 

 

まずは、OBDという単語をご理解ください。OBDとは「On Board Diagnosis」の略で、車載されている故障診断システム(車載式故障診断装置)のことです。

 

 

このODBを、走行車両の「排気ガス規制」に活用するシステムとして、OBD規制(1988年カリフォルニア州より導入)により促進されました。

 

 

所謂、OBD規制では汚染物質排出規制により環境改善が目的とされ、OBDは車両に搭載されることにより車両運行時のCO2等の排出を最大限抑える為、その実行を目的とされている訳です。

 

 

更に、定期点検及び不具合(排気ガス浄化装置の故障)発生時の作業を行うメカニックが、OBDの情報をベースに修理できる様にすることが最大の目的とされています。

 

 

ところが、肝心のドライバーは、自身の運転するクルマの排気ガスの排出状態が悪化していても気が付きません。そこでドライバーへの告知機能(メンテナンス入庫促進)として「各種警告灯がメーター内に配置」されている訳です。

 

 

 

OBDでは、走行中に発生した車両システムの不具合及び故障情報、特に排気ガスの生成に関する全てのシステムを監視、いざトラブルが発生した際にメモリーに保存し、かつドライバーに点検を促す項目が入力された際には、インストゥルメントパネル(メーター)内にある各種警告灯(故障表示ランプ MILMalfunction Indicator Lamp)を点灯及び点滅させます。

 

尚、OBDで診断できる項目は、電装系(Bコード)、シャーシ系(Cコード)、パワートレイン系(Pコード)、車内CAN通信系(Uコード)の4つ。

 

 

フォルクスワーゲン車の場合、パワートレイン系Pコード(エンジン及びトランスミッション制御)だけでも数百のコードが存在し、更に緊急性を有すコードに対して「MIL-ON」の指示がプログラムされています。

 

 

実際の活用の現場では、前述の様にメカニックが点検整備する上で非常に有効なデーターとなる訳です。ここで良く誤解されるのですが、「エンジン警告灯を消去する」ことが整備の目的ではなく、そのコードが示す不具合箇所の修理改善を目的であって、それを実行した上で結果的に警告灯が消灯する訳です。

 

 

そのうえで、更に大事になってくるのが、「フォルトコードの保全」なのですが、昨今自動車業界内では販売店サイド(所謂、中古車販売店)も「警告灯リセッター」なるものを持ち、整備入庫車両及び在庫車両の「警告灯が点灯している車両」に対して、安易に消去・リセットを行ってしまう事態が増えております。

 

当店では、同業者さんからのメンテナンス依頼は受け付けておりませんが、なかにはユーザー自身でこのリセッターを購入されてコードの読み取りを行っている方もおられる様です。

 

(※因みにドイツでは、ユーザー自身がOBDをリセットしてメモリー消去を行った場合、証拠隠滅の疑いで継続車検は不合格になります。)

 

 

あまり意味のない行動結果によって返って高額な修理費用を支払わなくてはいけなくなるのはユーザーさんご自身ですので、良く考えて行動されることを進言する次第です。

 

(実際にプログラム書き換え等が誤って実行された場合、車両がエンジン始動不能となりそのリカバリーに数十万円掛かるケースも多数報告されています。)

 

 

 

 

さて、なんとなく概要をご理解いただけたでしょうか。

 

 

一番大事なのは、「ツナギを着ていても上記の内容を全く理解していない自動車業界関係者が恐ろしいほど多くいる」ということです。

 

 

大事なおクルマをメンテナンスで預ける以上、そのお店のスキル次第で数十万円もする高額なメンテナンス費用が必要となってしまう訳で、況やメンテナンス先を選ぶ際にもご自身のある程度の知識は必要となってきます。

 

 

ツナギを着て中途半端な知識を並べて、お預かり後はディーラーや外注先へ直行、という業者も多い中、また実績の不明なインターネットでの情報を鵜呑みにして、ユーザー自身が分かったフリをしても、事態の打開には至りません。

 

(例えば、同じメンテナンス修理であってもAという工場では10万円で修理が完成し、Bという工場では30万円掛かる、と言う様な事態は日常茶飯事です。)

 

 

何れにおいても、「不具合症状を直す」という結果は同じで、メカニックの経験値の違いからくるスキルの差や、リーズナブルなメンテナンスを目指すという志の差などから、過程が変わり、その結果に大いな違いが生じる訳です。

 

 

 

 

まっ、私から言えることはそんな事ぐらいですかな。

 

 

あんまし言うと業界関係者から石投げつけられますので、後は自分で考えてくださいな。