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空を見上げ、少女は想う。。
「また、明日はやってきてくれるのだろうか?」
・・・と、、
草原を歩き少女は呟く、
「この世界の木々の詩は、私たちの命の詩・・」

小鳥たちと囁き、笛で会話する・・・植物・・大地とのティータイム♪・・

いつしか、星が瞬き始め、流れ星が流れた・・
一冊の本が、風でページをめくる。。
切なく、大切な物語。。。
****DREAM TOWN STORY****

【ユメのハジマリⅠ 〝植物の夢<記憶>〟】



炎の謳日が行われていた日。
少年・少女たちは、炎の祭壇がある建物の前へ訪れていた。
「始まってるね。」
茶色のくりくりっとした瞳の女の子のマホナは、その建物を見上げたまま、
隣にいる女の子へ声をかける。
「ー・・そうですね。」
そう答え、木々の若葉のような黄緑色の長い髪を揺らしたのはフエナだ。
少し寂しげな表情をしている。
「べつにさー・・。ここまで厳重にしなくてもいいのにさー・・あのじーさん。。」
ちょっとふてくされたように呟く男の子はセイヤだ。黄昏時の空のような深い青色の髪を揺らし、
建物と逆方向の空を見上げた。日はまだ高く、お昼を過ぎたばかりだ。
建物の中から1人で謳を詠む若き青年の声がする。
フエナはその声に耳を傾けていた。
目を閉じて、その詠む姿を思う・・。きっと聖なる衣をまとった彼の姿を想い描いているのだろう。
ほほがわずかながら、赤い。


日が傾き始めた頃、謳日が終わり、参加していた炎の賢者たちや炎の属する者たちが外へ次々と
出てくる。
フエナたちは、門の前から脇に移動し、誰かを待っているようだ。
人々の列が途切れた頃・・1人の青年が建物から出てきた。
傾きかけた太陽が青年を歓迎するように、一つに束ねられた金色の髪を照らす。

「「「おつかれさま」」」
フエナたちは、声をそろえて声をかけた。
青年はこちらを向いて、
「ああ。」
と返事をした。彼こそ、今宵の主人公、『炎の勇者ー救世主ー<ミッシオナ・ライズ>』・・レカルだ。
フエナたち、レカルを含むこの4人は、今Cno(今年)、町の“守り人”として選ばれている。
神々の祭り、“炎・水・植物(風)・光(星)”の神の祭日には顔を出し、町の平安を祈ったりする
役目がある。
今回は“炎の祭日”ということで、炎の属性を持つレカルが役目を果たしたのだ・・。
しかし・・
「いつかは、謳を詠んでいる姿をみたいです・・」
フエナは寂しげに呟く・・。そう、炎の祭日は決まりが厳しく、儀式中に建物の中に入れるのは
“炎を属とする者”と決まっているのだ。
それを聞いていたマホナもその呟きに賛同し、
「あたしも!」
と頷いてくれた。
レカルはその様子をわずかならが嬉しそうに、
「そのうちな。」
と言った。フエナはその様子に、今までよりもずっと彼が自分たちの傍にきてくれていることを感じた。
『・・・前は、もっと遠かった・・気がしていました・・』
フエナは、マホナが言い出した水神の祭日の話やレカルが言ったセイヤの舞の上達の話しに
同意しつつ、レカルの趣味とも言えるセイヤへのからかいツッコミをながめ、
いつも通りの時が流れていくことの幸せを感じていた・・。

『―・・本当に・・1人じゃなくて・・よかったです・・』

守り人が切り替わる“ハローウィン”期間に、一番最初に選ばれていたことに気づいていた
フエナは、不安でたまらなかった。自分に、町を守るということができるのだろうかと・・
たとえ、守れたとしても・・その守ることで、傷つけてしまうこともある・・
そんな気がしていた・・。

でも、今は4人。
4人だからこそ、考え方も違うから時にはバタバタしてしまうこともあるけど、
4人だからこそ、それぞれできることもあるし、異なる力が合わさることで何倍ものパワーになる。
そう、フエナは感じていたのだ。
セイヤが機嫌を直した頃、もう自宅が近くなっていきていた。
すると、話していたレカルの手から本が二冊、地面に落ちた。
フエナは反射的に本を拾おうと手を伸ばすと、二冊目が落ちた拍子でページが開いていたのだ。
フエナは見るつもりはなかったのだが、目に入り込んだ文字を読んでしまった。

“―俺は“レイ”と呼ばれている・・。
 それは、あまりにも自然だった。
 その日の夢もまた 炎の中で・・・・・―”

『ー・・・?何かの物語・・・・・・・?』

文字は手書きであることもはっきりとわかった。
その文字が誰の文字であるかもフエナにはわかる。
少し幼い感じの文字だが、それは確かにレカルのものだった。
良く見るとbat(日付)を書く欄もある。手帳のようだ。

すると、いつもなら声をかけ、すぐに拾い始めるレカルが立ったまま動かない。
フエナはふと、拾いながらレカルの顔を見た。
何かの痛みを耐えるような顔だ。フエナは心配をしながらも、多くのことは聞けずに・・
「あの・・この・・手帳って・・・?」
と声をかけた。フエナの手からその二冊はレカルの手元へ戻る。
受け取ったレカルは、何もなかったような様子で声を発した・・
その時だった。
目の前から声がこちら側に降ってきた。
フエナとマホナの姉のレアだ。窓から柔らかな髪をおさえて顔を出し、夕食の準備ができたことを
教えている。マホナは返事をして、すぐに家の中へ入っていく。セイヤも、
「オレ、先に入るよ、レカル。ハラへったー・・・・」
と言い、隣り近所にある自宅の中へ入っていった。
フエナはというと、レカルの言いかけた言葉が気になって動けない。
フエナの不安そうな様子を気遣ってか、レカルはフエナに声をかけた。
「・・・明日、家の図書室にくるか・・?」
思いがけないレカルの言葉にフエナは、わずかに硬直していた。
『・・・私を・・レカルさんが・・?』
誘ってくれた理由は、レカルの表情からも様子からも何もわからなかったが、
手帳と何か繋がりがあるのを感じ、フエナは素直に返事をした。
その様子を見るレカルは、何か安心感があるように見えた。
「・・・じゃあ・・。明日・・。」
そう告げるとレカルは自宅へ向かっていった。
フエナは、初めて自分だけを誘ってくれたあの言葉を信じられずにいたが、
その彼の後姿をただ見つめ、少しだけ明日の夢を描いていた。

フエナにとってレカルは・・・
『私にとってレカルさんは、良き仲間であり、私の・・・憧れの人・・・。
 大地に立つ・・太陽のような人・・・・。
 いつも黙って、私たちを見守り、助けてくれる大きな存在・・。
 ・・・たしかに前は、少し・・距離があったように感じたこともあったけれど、
 今は・・本当にチームみたいな感じで・・・あたたかい感じがしていて嬉しいのです・・。

 ・・だから・・ 私は・・・

 少しでも アナタの力になりたいと・・思うのです・・・・・・』


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BGM♪:『YOU(10th Anniversary version)』浜崎あゆみ