今年(2023年)7月から毎週土曜日に公開している本コラム、今回が23作目となりました。今回は、自分が経験した「身近にあるエラー誘因」がテーマです。楽に読んでいただきたいと思います。

10年ほど前のことです。

その日は、東京のあるホテルで開かれた製薬会社P社の講演会に参加していました。

 

途中の休憩時間で、混まない前にと、トイレに向かって走りました。トイレを示す案内板があったので、そこから入ろうとしたとき、案内の女性に停められました。
「お客様、こちらは女性用です。男性用は。あちらです。」と、やさしい口調で男性用トイレを教えてくれました。

 

用を終えて余裕ができたので、間違えた案内板を確認すると、そこに描かれている記号は「スカート」姿・・・でした(ありゃあ !!)。

 

いつも、一眼レフカメラを持ち歩いていたので、その時もカメラを手にしていました。一歩間違えば、こんなことになっていたかもしれません。

 

東京から山口(宇部)に戻ったとき、山口宇部空港のトイレ表示を見て、「これだ !!」と思いました。

 

急いでいたので、確認が不十分だったことは事実です(ま、トイレに用があるときは、焦っていますけど)。

ただ、案内板がこのような表示だったら、間違えなかったかもしれません。


 

エラーの大きな原因は、表示板の記号の色が同じである・・・と考え、写真を添えて、主催のP社に表示の見直しを要望しました。
その後、再び、P社の講演会に出席する機会がありましたが、その時は、表示は色分けしたものに変わっていました。

 

このエラー経験の後、トイレの表示に興味を持ちました。

皆さんは、トイレの表示について、①色、➁記号と③文字のうち、どれに注目するでしょうか?

 

調べてみると、トイレ表示の色分けは、東京オリンピック(1964年)がきっかけとされています。海外からの観光客に配慮し、文字に頼らないトイレ表示を検討する過程で、「男性がスカートをはく国もある」という意見もあり、性別を表す記号だけでなく、色分けも合わせたとのこと(複数の表示は、エラー防止に効果的です)。
また、国際的にも、同じような記号が使われています。ただ、色弱の方は青と赤の区別がつかないということで、その方々への配慮から、青色での統一が多いようです。


こちらは、韓国の鉄道駅のトイレ表示。表示は、青色一色です。

ハングルは理解できませんが、男女のデザインと英語と日本語表記が揃っているので間違えにくいです。
外国ですので、間違えると、“国際問題”に発展するかも(笑)。

 

また、岡山駅前のホテルのトイレでも悩みました。この表示には、「Rest Room」としか書かれていません。描かれている帽子で判断しなさい・・・ということなんでしょうか?
迷ったのは、右の男性用と思われる帽子の下の部分です。車イスに加えて、「着替室」と書かれています。男性は女性に比べて、着替場所の必要が少ないと思います。

中から出てくる人の性別を確認するまで、尿意を我慢。ほんと、困りました。

 

こちらは、ブラジルのトイレ表示。ブラジル音楽を趣味としているので、この程度のポルトガル語は理解できますが、遊び心があっていいですね。

ただ、なじみのない動物のイラストなので、女子用の方まで観察します。

 

また、こちらは、南米アルゼンチンのトイレ表示。

これまた、表示板の色とデザインが変わっています。

 

そして、こちらは、タイの鉄道駅のトイレ表示。
「TOILET」以外の文字は、全く理解できません。

 

トイレ表示について何度も講演ネタにしていたら、ある製薬会社の方から、インドのトイレの写真をプレゼントされました。世界のトイレ表示・・・色々あって楽しい !!
トイレ表示の観察、まだまだ続きそうです。

 

このコラムを書く当たって色々と調べていて、気になったことがあります。それは、冒頭のP社への要望内容です。

相手が世界に展開する外資系のP社ということを考えると、「“男性 man”と“女性 woman”という文字を大きく表示してください」・・・というのが適切だったのかもしれません。

 

さて、次回からは、新しいKey Sentence「問題解決のために、具体的な提案を !! 」で、試みてきたアィディアについて、シリーズでお届けします。