後発医薬品の商品名が、「一般名+剤形+含量+会社名(屋号)」と決められたのは、2005年9月22日のこと。それまでは、後発医薬品も、それぞれ「商標(ブランド)」が付けられていました(先発品によく似た名前もありましたね)

 

また、2006年3月31日には、局方収載医薬品の名前のつけ方も、
海外諸国と同様(※)に、「塩酸モルヒネ」から「モルヒネ塩酸塩」のように、「活性本体」と「塩」の順番が入れ替わりました。
※ morphine hydrochloride

 

その頃、「一般名だと、長すぎる !!」という意見(苦情)がありました。でも、その後の後発医薬品の使用拡大を考えると、意味のある変更だと思います。

そのまま後発医薬品それぞれに異なる商品名に付けられていたら、

きっと 医師と看護師(と薬剤師)は大混乱 だったでしょう

なぜ、一般名は長く感じるのか?
そのことについて、考えてみました。

例として、直接トロンビン阻害薬「プラザキサ™」の一般名について、日本語表記と英語表記を比べてみましょう。

  ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩

  Dabigatran Etexilate Methanesulfonate

 

日本語表記では、切れ間なくカタカナ文字が並びます。一方、英語表記では、3つの部分(活性本体+エステル+塩)に分かれています。この違いが、一般名が長く感じる原因と思います。

次に、下の図で、日本語表記の表示1と表示2を比べてみてください。
どちらの表記の方が、わかりやすいでしょうか ?

個人的には、表示2のような表現の方がよかったと思います。

参考までに、それぞれの部分の意味を次の図で示します。
医師や看護師にとって、「エテキシレート」と「メタンスルホン酸塩」の部分は、重要ではありません。

重要なのは、活性本体の「ダビガトラン」の部分です。

つまり、次の図のように文字サイズを変えることで「ダビガトラン」にだけ集中できれば、一般名も長いとは感じません。

こんなことも経験しました。

こちらは、後発医薬品を供給する製薬会社の外箱の表示です(会社名は、〇〇〇で示しています)
外箱を手にした時、どこが重要な部分なのかわかりませんでした。
製剤本体も同じです。
医薬品名が長くなる後発医薬品では、製剤本体に貼られているラベル面積は限られていますので、下の図のように、活性本体が目立つような表示が必要だと思います。


現役時代、このスライドを示して改善を求めました。

残念ながら、医薬品を取り扱う現場の意見を理解していただけませんでした。
(必ずしも、提案を受け入れてもらえるわけではありません)

 

おそらく、あと数年後、「プラザキサ™」の後発品が発売になるでしょう。
その時には、ぜひ次のような表示をお願いしたいです。


 

余談ですが・・・
後発医薬品の一般名(成分名)表示については、

1996年3月15日、朝日新聞の投稿欄で提案させていただきました(左)。
それから10年、それが実現しました(右) !!

もちろん、この提案はほんの小さなものですが、とてもうれしい出来事でした !!

その時、実感したこと。
問題解決のための提案は大切。
そして、
それが実現するかどうかの決め手は、タイミング !!