10回目のコラムは、職種間の情報伝達エラー について。

 

医師、看護師と薬剤師では、それぞれ“常識”が異なる !!

「常識の違い」は、業務上の役割の違い、また、教育内容の違いから生まれます。

ここでは、医師と看護師の間の「常識の違い」によるエラー事例で説明します。


強い痛みを訴える患者に麻薬性鎮痛薬「モルヒネ」を投与するとき、

医師は、看護師に、「モルヒネ 2.5ミリ投与」と口頭で指示することがあります。

その時、医師は、成分量として 2.5ミリグラム(㎎)のつもりですが、
モルヒネの注射剤(液体)を手にした看護師は、

液量 として2.5ミリリットル(mL)と受けとめ、結果として10倍のモルヒネが投与 されたというような出来事が何度も報告されています。

指示する医師(情報の発信者)にとっては、
投与する宿里の量を「成分量」で指示すればいいわけです。どのような製剤があるのかをきにしなくてもいいわけですので、

一方、指示を受ける看護師(情報の受信者)に
投与する製剤(液体)から、目盛がmLの注射筒で薬液を抜き取るため、「液量」と勘受け取るのも理解できます。

このような“情報伝達エラー”は、医師と看護師の業務上の役割から生まれます。


 

別の事例も紹介します。

これは、インスリン投与のときに、

研修医からの「時間4」という指示が看護師に正しく伝わらなかった事例です。

研修医は「1時間 当たり 4単位」のつもりでしたが、

看護師は「1時間 当たり 4mL」と受け取りました。

このような“情報伝達エラー”を防ぐためには。
医師から口頭で看護師に指示するときに、次の2点を守る必要があります。

 ①薬の名前を略号で指示しない

 ➁投与量の単位を省略しない
また、看護師側は、
薬の名前を略名で指示されたときや単位の一部が省略されている場合、
医師に確認することが必要・・・です。