第二部


第伍章説

「侮辱と血痕」

天井の電球が目に入る。

心臓が破裂しそうな勢いで脈を早める。

足は震え、息はし難く、鼻に違和感を感じた。

大量の鼻血が制服にこぼれ落ちる。

激痛で涙が自然と溜まる。

ゆっくり周りを見渡すと目の前に、顔面を押さえてるDが居る。

地面に自分の血がポタポタッと落ちてる。

立とうしたが完璧に腰が引けてる気がした・・・。

Dは、ゆっくり立って俺を見下し完璧に気持ちを潰しに来た。

右目を腫らし次のラウンドの手招きを始めた。

ゆっくり右手をまた差し出す。

俺は差し出す手に、恐怖を植えつけられた。

この手を叩けば、またノーガードで殴り合わないといけない。

もう立ちたくなかった。

弱い自分の気持ちに負けた。

D「ちょっとは、根性あると思ったけど、やっぱりただのいきがりだったな」

Dの後ろの5人が一斉に笑い暴言を吐く。

言われるがままの俺。

何も言えなかった。

言い返せなかった。

静かに立会人の達也が口を開いた。

達也「もういいだろう。勝負ついたし。」

D「いいよ、これで最後」

笑いながら、しゃがみこんでる俺の髪の毛を掴み、膝を顔面めがけて打ち込んだ。

一瞬過ぎて俺は痛みより、意識が飛び何が起こったかわからなかった。

最後に映ったのは、トーキ達が大声で叫んでDに飛び蹴りをしてる風景だった。

暗くなる瞬間、涙がこぼれた。

第二部



第四章説


「惨めな道」


悪と正義がはっきりしてるシナリオ。


俺はどっちなのだろう?


悪?正義?


俺でも分からない。


言うなれば根性なしの中途半端者
悪と正の真ん中を迷っているのかも知れない。


昼が過ぎ、心臓の鼓動が収まる事なく音楽を奏でている。


授業に出る気分じゃなく、技術室で煙草を吸っては考え。
考えても答えが見つからない。
光も見つからない。
嫌で嫌で仕方が無い。


助けてくれよって言ったら誰か助けてくれるのかな?
都合が悪くなったら神頼みかよって言われても仕方がない。


逃げたいけど、選択の中に逃げる道がない。


でも必死に逃げ道を探す。


逃げればいいじゃん?
駄目だろう?


弱い自分が出てきているのが分かる。


昔から変わらない。


この連鎖は終わる事なく続く。


自分で始めたなら、自分で終わらないと行けない。


紀天「大丈夫?顔色わりいよ」


勇「仕方ないよ。放課後タイマンしないと行けないんだぞ」


聖史「わかってるけど、いつもこの喧嘩の前の気持ちが嫌なんだよね」


トーキ「まじで?俺は好きだけどな~。」


勇「お前はタイマンしねえじゃねえか。」


雅「聖史の気持ちも分かるよ。嫌だよな」


いつもする喧嘩とタイマンは別物なんだ。
タイマンは個人個人の力比べで弱いか強いか決める。


背負う者が大きいほど強くなれるのも事実。


でも、今から先、何回もこの場面が訪れる、初戦でこんなびびってたって逃げれない。
考えても時間だけが過ぎていく。


聖史「もう、決まってるからやるしかないよね?」


勇「そうだね、立会人も達也さんだし。」


紀天「俺は応援するぞ!俺らの初戦だよ!負けても勝っても!」


チャイム音が聞こえる。
下校チャイムだが、俺には始まりのチャイム。


勇「よし、そろそろ行くか?」


五人共、技術室を出て体育館裏に向かう。


俺は深呼吸をしながら自分に言い聞かす。
自分のケツは自分で拭くと。
振り向けば後悔だけが頭を過ぎるから。
ここで死んだとしても、後ろは振り向かないで行こうと。


校舎の横に体育館があり、裏には2階に上がれる階段があった。
階段には、達也さんと後2人座ってる。


達也「来たね、ついて来て。」


階段を上がり、2階のドアを開け中に入って行った。


中の空気は冷たく、目の前にはDがシャドウボクシングをしている。
Dの後ろには5人程座っており。


周りは体育館で使う椅子が余計置いてあった。


Dは俺を向き笑顔で暴言をひたすら吐いている。


達也「いいか?どっちが勝とうが負けようが絶対手を出すなよ。」

   「俺等のルールでタイマンしてもらうからな。」


紀天達は空気に飲まれた様で緊張してるのが俺に伝わって来た。

ギャラリーの奴等は後ろの壁に着くように離れる。


タイマンにルールなんてあるのも知らない俺は、ただ殴り合うだけだと思っていた。
その中に俺とDと達也さんが集まった。


D「達也いいから始めろやぼけ」


聖史「俺ルール知らないんですが?」


達也「ルールは、左手を出し合いハイタッチした瞬間にお互い拳を顔面目掛けて殴り合う。」
   「ハイタッチ一回に一発づつ、絶対避けるなよ。」

   「もし避けたらペナルティで1発」


D「早くしろや」


俺は軽くうなずく。


地獄のルール。


男が試されるゲーム。


空気が重く静まり変えっている。


心臓が破裂しそうに音を奏でている。


D「顔面陥没してやるからよ!」


Dが左手を出し誘ってきた。


俺はDの左手を張り手の用に叩く。


一斉に拳を後ろに引き、思いっきり前へ押し出す。


DにもDの考えがある。
負けられないプライド、仲間の仇撃ち、傷の痛み。


D「うおおおおおおおおおおお!!!」


俺も一緒だった。
理由はなくても、このままじゃ終われない。


聖史「おおおおおおおおおおおお!!!」


「ゴンッ!!!!!」


「ゴンッ!!!!!」


もうココまで来た以上、逃げる事は出来ない。
押されても後ろを向かず前だけ向いて歩くと決めた。
その先が地獄の道でも・・・。

☆更新が遅れてすみませんでした。☆

☆今度は、あまりにも長くて上編と下編に分けて書きました。☆

☆上編から読んでください。☆

☆更新が遅れて本当にすみませんでした。☆

☆コメント等は返せる時は返すのでじゃんじゃんコメください^^☆

☆初見さんも気楽に来て、目を通して頂けたらうれしいです^^☆

☆でわ~上編からお楽しみください~。☆

☆さりぃーでした☆


第二部


第三章説


下編 「連鎖と現実」


坂を上がっていると校舎側からタイミングを合わせたかの用に
学ランを着て髪の毛が一人一人違う奴等が降りてきた。


完璧にはさまれた。


なんも無い様に願い、重い足を一歩ずつ前に出し歩いていると
校舎側の3年の包帯を頭に巻いてる男が端っこに立ち
空気を凍らせる一言が聞こえた。


校舎側の3年が6人ほど俺等が来るのを待ってるかの様に足を止めて


「おい!やっと居たな!」


俺が図書室で殴ったDだった。


最悪の展開。


D「2年のごみ、お前等は後回しや、さっさとそいつを渡せ」


行くも地獄、帰るも地獄ってこの事だと理解した。


俺等の足は完璧に止まった・・・。


俺は心臓がバクバクし始める。


聖史「俺目当てらしいし、技術室戻ってていいよ」


紀天「はぁ?なに言ってるんだよ無理だろう」


俺はいつも一人だった。

今からだってそうだ。


一人で生きて一人で死ぬ。


勇「ふざけんな、どっちにしろ俺等も囲まれてるんだ」


トーキ「もうやっちまおう」


雅「初戦はこんなもんだろう?」


紀天「どうしよう。やるしかないのかな?」


この時、俺は一人じゃないんだとほんの少し思えた気がする。


包帯巻きの男が端っこから真ん中よりの方へ行き俺等を睨み首を振っている。


D「ごちゃごちゃうっせぞ!12針だぞ。俺だけ早く復帰したからお前に会いたくて会いたくて」
「もう、金なんていい。お前を殺さないと周りに示しが付かないしよ」


正直、足がガクガク震えて居た。

紀天達もオドオドしながら後ろと前を見ては再度確認する仕草を見せている。


漫画じゃここで喧嘩して勝てるかも知れない。
でも、実際はそんな甘くない。


100%の確率で負ける。
数学の苦手な俺でもわかる。


気合や根性で乗り切れる壁じゃないのも俺等は知っている。
でも逃げ道も無い。


校庭側の3年が俺等に気付き近くに寄ってきた。


真ん中に立って居るロンゲは学ランの腕の左右の刺繍がやたら目に入る。


ロンゲで優しそうな顔で話しかけて来た。


ロンゲ「なにしてんだ?じゃまやろう?」


ロンゲの周りの連中は俺等を睨み


勇「どきたくてもどけないですよ。前に先輩達がいるから」


ロンゲが校舎の方を見ると、Dと睨み合っている俺達が居る。


心臓はバクバクで体が震え、運に任せるしかないって思ってた。


ロンゲ「お前等そこの教室に戻っとけ」


俺達は早歩きで技術室に逃れた。

Dはそれを許すはずがない。


俺等は技術室の入り口で隠れその光景を見ていた。


D「達也!なに勝手な事してんだ。そいつに用があるんじゃ」


ロンゲ「みっともないね、後輩相手にマジかよ」


D「はぁあ!こっちは転入生に恥を掻かされたんじゃ。教育すんのも俺等の仕事やろう」


ロンゲは黙り、横に居た坊主の奴に何かを言っている。


坊主が俺等の方へ歩いて来て、俺は腕を引っ張られて戦場に連れ出された。


D「そいつに話があるだけだからこっちに来させろ」


ロンゲが俺に小さい声で「あいつとタイマン出来るか?」と言ってきた。


俺は嫌々ながらうなづいた。


ロンゲ「わかった、ならお前こいつとタイマンはれや」


D「はぁ?ふざけんなよ。タイマンで済ませられるか」


ロンゲはDをどんどん煽り始める。


ロンゲ「怖いか?後輩にタイマンで負けるのが怖いか?大人数だと勝てるもんな」


D「ふざけんなよ、おう分かったやってやろう」


ロンゲ「なら放課後、体育館裏で立会人は俺がするわ」


D「そいつが終わったら次は達也、お前も修羅雪も潰すからな」


ロンゲ「慙愧の下っ端が強気だね~うちはいつでも待ってるよ。」


Dは俺とロンゲを殺すと一言、言って校舎に帰っていった。


ロンゲは俺を見笑いながら


ロンゲ「後は自分でやるしかないのわかるよな?」


俺はうなずいた。
救われたが同時に放課後のタイマン券を手に入れてしまった事に後悔をしている。


ロンゲ「じゃー放課後にな」


ロンゲ達は歩き校舎に向かって歩き出した。


ロンゲと周りの奴等の後ろ姿に目が釘付けになった。


学ランの後ろに皆、三代目 修羅雪と刺繍が大きくあった。

なんでかその背中がかっこよく見えていた。


紀天達が出て来て俺に近づき慌しく一緒に先輩達の背中を見た。


紀天「三代目、修羅雪の達也さん」


勇「さすがに迫力あるよな」


雅「今から先、あの人達と喧嘩しないと行けないのかな?」


トーキ「余裕っしょ!」


聖史「・・・・」


甘くない世界。


逃げれるなら迷わず逃げたい気持ちを抱き
俺等は達也さん達の後ろ姿が消えるまで技術室の前で立って居た。