私が今回の旅で一番心臓に悪かった話をしよう。
9月7日
私たちは首都デリーから聖地バラナシへ移るために、空港へと向かっていた。
ホテルに迎えに来てくれていたタクシーに、3、4人ずつぐらいに分かれて乗り込む。タクシーと言っても形は様々で、一見すると普通車と見分けがつかない。
タクシーのおじさんは陽気な人で、色々と話しかけてくれる。楽しいが、かなりの頻度で目線をこちらに合わせてくるので、危なっかしい。
おじさんはおもむろにアメを取り出すと、封を切って舐めだした。なんて適当な行為と思った矢先、物凄い音がした。車が柵にぶつかったのだ。そのまま車は道路の脇へ。
どうやら壊れたらしい。
だが、おじさんは笑ってNo problem.と言う。
もう駄目だと諦めかけたが、暫くすると新しいタクシーがやって来た。
これでひと安心――――ではなかった。
ここからが大変だった。
新しい運転手が行き先を知らなかったのだ。国内線の空港に行きたい、と言うと、国内線のターミナルは二つある、と返してくる。どこのエアラインだ?と聞かれるが、他人に任せっきりだった私たちはどこのエアラインか知らない。e-ticketも持ってなければ、普段は持っているはずのパスポートすらも持ってない。ちょうどその日は、他の人に預けていたのだ。2つのターミナルの場所は距離が遠い。運転手は呆れた顔をしている。十分なお金もない。
バラナシ行き断念どころか、デリーでの野宿生活が待っているのかと思い始め、私たちはパニック状態に陥る。ヤケクソになり、勘でターミナル1へ。
ターミナル1に着くと、なんと仲間の姿が見えるではないか――――。
本当に運が良かったとしか言いようがない。
今回の教訓。
旅は常に自立しておかなければならない。
そして
インド人は適当だ。
思わぬハプニングが自らを襲う。
今回は1粒のアメが歯車を狂わせたのだ。
だが、今になって思う。
なんて滑稽な出来事だったのだろう。
この出来事を思い出しては笑ってしまう、自分がいる。
【文責:広報局1年 豊岡真由香】