大相撲の横綱(当時)日馬富士の暴行事件の余韻がまだ残っています。
特に大きいのは貴乃花親方の処分についてでしょう。
これに関してのメディアの報道・解説に疑問を持っています。
ここ数日言われているのが、「降格」より軽い「業務停止」処分の方が実質は重いのではないかということです。
すなわち軽い処分の「業務停止」だと弟子の指導ができなくなり、理事解任よりも実質重いとの説明です。多くというかそれ以外の解説は聞いたことがありません。。
これっておかしいですよね。
明らかに「親方の仕事」と「相撲協会の職務」とを混同しています。
貴乃花親方は「理事・巡業部長」という立場と「貴の岩を指導監督する親方」という立場の二つがあります。
例えば、経団連の役員をされている企業の社長さんも「経団連の役員」の立場と「一企業の経営者」という立場の二つがあります。
それと似たようなものです。
経団連の役員の業務怠慢だとして処分するのに、出身母体企業での降格や業務停止や減給を求めることができますか。できるわけはありません。あくまでも経団連の役員としての降格や業務停止や減給などの処分を行うことができるわけです。
今回の貴乃花親の問題は二つ言われていますが、それぞれ立場が違うものです。
一つは、理事・巡業部長としての報告義務などを怠ったこと。
ですからこれについての処分を行うことになりますが、降格はあまりにも重すぎると感じます。そこで一つ軽い業務停止ということですが、これは理事・巡業部長としての業務停止ということになります。したがって弟子の指導等が制約されることはありません。そしてすでに冬巡業から外されており、業務停止処分はすでに受けていることになります。
もう一つは、親方として貴の岩の休場の診断書未提出や事情聴取の非協力ですが、これには親方としての処分となります。内容から言って業務停止は重すぎるでしょう。せいぜい減給程度だと思います。
整理すると、私の考えでは貴乃花親方の処分は、理事・巡業部長としての業務停止でこれはすでに済、そして親方として減給といったところです。いかがでしょうか。
今回の協会の処分は二つの異なる立場を混同し、また処分を加算ではなく乗算してしまって極めて重いものにしています。
池坊さんならともかく、髙野さんという法曹界のエリートの方がこのような論理矛盾に気が付かないはずはなく、何らかの意図が働いているのではと疑ってしまいますね。
長くなりましたので、伊勢ケ浜親方については別稿にします。