Salaryman Quest ~あるサラリーマンの冒険~

Salaryman Quest ~あるサラリーマンの冒険~

サラリーマン生活はドラクエのようなもの。38歳にしてはじめて営業という大平原を旅することになった。いつかクライアントという大魔王を倒すその日まで、日々レベルアップを続けるのだ。

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男38歳にして、Lv1。


とにもかくにも、まずは弱い敵からバンバン倒して、経験値を積むしかない。


武装もせず、布の服に、素手の私は受話器を握り、

最初のモンスターにターゲットをさだめた。


そう。もちろん・・・



Salaryman Quest ~あるサラリーマンの冒険~-su



である。


「あっ、私 アレフガルド・コーポレーションの ちょす と申します。

今日は弊社の商品、「営業スキルアップDVD」のセールスでお電話

させていただいたのですが、ご担当の方いらっ・・。」


あっ、いらないです。」  ガチャ!


「・・・。」


まだ何も技出していないんですけど。。。


まぁ、スライムに逃げられることもあるさ。


こちらが強すぎるとね。



さて、次のスライム。


Salaryman Quest ~あるサラリーマンの冒険~-su





同じように電話をすると、今度は担当者につながった。


さぁ、初のバトルだ!!


すると・・・


「あっ、とりあえず資料送っといて。」 ガチャ!


「・・・。」


まだ、何の商品かも説明してないんだけど。。。



かくして、スライム2匹との戦いで、早くもテレアポという壁に

ぶつかってしまった。





旅の情報を得るために、他の兵士に話を聞く。


なるほど。なるほど。


どうやら、モンスター討伐においては「ダイリテン」という

ルイーダの酒場のような所があるらしい。


そして、そこに企画や商品を 丸投げ して、

ダイリテンの戦士や魔法使いが倒してきたモンスターを、

さも自分が苦労して倒したかのように 手柄 にするらしい。


そして王様から褒美をもらい、さらには経験値まで得てしまうという。


「・・・。」


聞いているだけで、ゲームオーバーになりそうだ。













どっさりと置かれた資料を眺めてみた。


「・・・。」


どれひとつとして興味をもてるモンスター(=クライアント)がいない。。。


それに、どれひとつとして・・・


金の臭いがしない


それはそうだ。


すでに旅を続けているものが、金を落とすモンスターをすでに

担当しているのだから。


まぁ、それに不公平さを感じるのも、38歳としては情けない。


金を落とさぬモンスターから金を奪い取ってこそ、

格別の喜びと経験値が得られるというもの。


そこで、まずは城内の他の兵士から、情報をあつめることにした。



先日、王様に呼ばれ告げられた。


そなたの職業は明日から営業じゃ


38歳にして初の営業。

城の外に出て、数々のモンスター(=クライアント)を倒して、

経験値を増やしながらお金を稼ぐ。


そんなことが私にできるのだろうか・・・。


そして今日長く勤めた城の厨房を出て、戦士の集う部屋へ向かった。

むむむ?何だこの雰囲気は。


けたたましい電話音。次々に訪れる他の城からの来客。


すると、険しい顔をした上等兵が近づいてきて、


「キミの席はここ。」


なるほど。

この席で旅の身支度を整えよ、ということか。


噂では旅立ち前には、「ヒキツギ」という儀式があると聞いていたが、

どうやらそんなものはないらしい。


モンスターごとに仕分けされた資料がドッサリ置いてある。

これを勝手に読めということか。


とにもかくにも、こうして私の冒険がはじまった。




Salaryman Quest ~あるサラリーマンの冒険~-王様によばれた