おもしろかった!!
2024年8月16日に劇場公開の映画「フォールガイ」を鑑賞してきましたが、素晴らしかった!
映画好きな方は、ニヤリとする場面がたくさんあってきっと楽しめるだろうし、
私のような映画初心者にとっても、とてもわかりやすいエンターテイメントに仕上がっていて
鑑賞後の爽快感がとても心地よい映画です。
ライアン・ゴズリング演じるスタントマンが、撮影中の事故による怪我で第一線を退いてしまい、
以降、打ち込める仕事を失ってしまって自分を見失ってしまうも、
一連の事件を経て、仕事の面でも、恋人との関係の面でも、自分を取り戻すというストーリー。
<以降、ネタバレ気味のようです。ご承知の上でお読みいただければと思います!>
スタントマンが出てくる映画というと、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドが思い起されますが、
(数少ない、観たことがある映画を引き合いに出して、さも映画通であるかのような口ぶり!鼻につくでしょう。すみません。)
あちらは表に出る役者(レオナルド・ディカプリオ)と裏で体を張るスタント(ブラッド・ピット)の、
友情と言っていいのか、切っても切れない関係性に焦点が当たっているのに対して、
「フォールガイ」では、スタントはどんなに過酷なアクションだって平然とやり遂げ、
そしてカットがかかる時にカメラに向かって「自分は大丈夫」と親指を立てる、
そんな、スタントの矜持、のようなものが映画に通底しています。
それはまるで、華やかなエンターテイメント業界を陰で支える無数のプロたちへの応援歌のようです。
そんな縁の下の力持ちに対して、「unsung herosに乾杯」などというセリフを悪役に憎たらしく言わせ、
その次のシーンで、そいつらはライアン・ゴズリングにボコボコに叩きのめされる。
スカッとするシーンの一つです。よくできた台本。
ラブストーリーの要素もあって、ライアン・ゴズリングの恋人(候補)は、新進気鋭の映画監督という設定。
自らメガホンをとって自身初の監督作品を撮影する、という役です。
処女作品の撮影の最中に、自分が考える演出方法に自信がなくなり、彼女はライアン・ゴズリングに電話で相談します。
「お互いを思い合い、電話をかける二人を、画面を2分割にしてスクリーンに写したい」
「画面を割る中心線が、二人の心理的な隔離を暗示している、という演出にしたい」
「ありきたりかしら」「そんなことないよ」
「別の場所にいるはずの二人の動作が妙にシンクロしている、というふうに撮影してはどうか」
すれ違っているように見えても実は心が繋がっている二人、を演出する手法をセリフとして解説しながら、
映画の中で電話する二人もまた、そのセリフ通りに動く。
この二人はきっと結ばれるに違いない、と観ている側は思う。なんというメタ視点。
映画好きだからこそ思いつく演出ですよね。本当によくできた台本。
本作のタイトル、「フォールガイ」を直訳すると、落ちる男。
スタントの演技の一つとして危険な高さから落ちる映像を撮る、その落下のことを指しています。
この映画において、フォールガイは、もちろんスタントを演じるライアン・ゴズリング。
映画の最初と最後で、2回落ちるんです。2回とも、とても象徴的なシーン。
1回目も2回目も、いずれも自分の愛する女性が注視する中で落下します。
1回目は失敗し、2回目は成功する。
でもね、1回目の失敗は必ずしも彼がスタントとしての手を抜いたからではない。
彼は、いつだってスタントとしてのプライドを捨てることがなかった。
1回目に失敗し、大怪我を負い、愛する人を失い、
それでなお2回目、目もくらむ高さからの落下、今度はきっちり成功させた。
保ち続けたプロとしての矜持は、やがて映画興行の成功に繋がり、愛する人との縁をぐいっと引き寄せる。
そんな、鑑賞後の爽快感が心地よい映画、とてもお勧めです。
サラピ

