中学生になってクラブ活動を選ぶとき、俺の希望は陸上部ではなく「エースをねらえ!」の影響なのか軟式テニス部。父親に言うと猛反対された。父親が勧めるのはバレーボール部。父親は会社の昼休みに屋上で輪になってバレーボールをするイメージを持っていて、社会人になった時バレーをやっていたら役立つと思ったらしい(残念ながら時代は変わってしまうんやけど)。父親にイヤとも言えずバレーボール部にしぶしぶ入部。無理矢理入部させられたバレーボール部なので、憧れの有名な選手もいないし、テレビで試合も見たことない。興味が全くないので楽しいはずがない。さらに元々球技が苦手なのでなかなかうまくならない。おまけに先輩からの意味のないしごきにストレスたまるし。クラブ活動ってスポーツを通じて健全な肉体と精神を鍛えるもののはずが、何にもいいことない。毎日やめたいと思いながら、父親を恨むばかり。バレーボール部で最初は気があったヤツもいたけど、そのうちにうまいヤツとヘタなヤツの差がどんどん開いて、うまいヤツはヘタなヤツを見下すばかり。先輩も尊敬できるようないい人おらんし。顧問の先生も俺にスポーツの喜びを教えたり、悩みを聞いてくれたりしないし、イヤなことばかり。今思うとこっちもカベを作って近寄って行けへんかったのがあかんかったかもしれへんけどね・・・。

 そんなこんなで2年生になった。新入生を教えることになったんやけど、俺自身うまくないので教えるのが難しい。相変わらず楽しくない。そのうち何か体がおかしくなって病院に行くと「自律神経失調症」と診断された。今思うと病気になるほどイヤやったんやって驚くけど、当時はよし!これや!と渡りに船とばかりにバレーボール部をやめる口実にした。病気だけに父親もしぶしぶ退部を認めた。それから入りたかったテニス部に2年の途中から入る勇気も根性もなく、そのままふらふら過ごした。

 その後、この中学校のバレーボールの件がずっと心の中に残ることになる。スポーツが得意なヤツに対して劣等感を持ってしまい、一生懸命スポーツに打ちこんだ人に対して憧れと妬みを持ってしまう。おまけに途中でやめたから負い目もあるし。父親に対して何で俺の自由にさせてくれへんかったんやとずっと恨みを言った。今思うと人のせいにしてばかりで最低なヤツ。ちなみに3歳年下の弟が中学に入った時、すんなりテニス部に入部。次男って得やね。スポーツが苦手やけど、クラブ活動をずっとがんばったりして、スポーツが素晴らしいと感じられた人は本当に幸せだと思うし、うらやましい。バスケ漫画「スラムダンク」の海南大付属の宮益なんてめっちゃ尊敬するわ。

              
(つづく)