私の仕事は
建築プラン作成&見積もり等の事務&現場大工をしています。
仕事をしていて感じたことをちょっと書きたいと思います。
耳が痛いことを書くかもしれませんので、
途中でそう想われた方は回れ右でお願いします。
始めに言っておきます、ゴメンなさい。
後では言いません(笑)なんて・・・。
先日、新築概算見積もりの依頼を頂きました。
ネットでホームページを見ての依頼です。
大変ありがたいことですし歓迎です。
そしてお客様の奥様が来店されました。
奥様から直接、どんな想いで家を造りたいのか聞いてみたところ、
用紙を見せてくれました。
その用紙は旦那様が書かれたそうです。
内容は建築について、設計見積要望が書かれています。
行政から依頼されるような事細かな設計約束が盛り込まれています。
また、図面も書かれたようで、要望平面図が書かれています。
使用材料表もあり、木造標準建築工事仕様書に適用しているかなど、
とってもよく考えて書かれています。
関心してしまうほど。
このようなものを設計図書といいますが、
この図書を最優先図書として扱ってくださいとあります。
住宅性能表示の等級まで指定されています。
ここまでご理解されていることは
大変スゴイことです。なかなか書けません。
この用紙で概算見積もりをして欲しいと書いてあります。
この図書を作成した理由は、(たぶんですが)
何社か見積もり依頼をするためだと思います。
なるべく同じ条件で安く出来る会社を探すためです。
とっても良く考えられていますし、同じ条件ということは
大切です。
(実際には細かな仕様や施工方法が違うので、同じにはなりませんが、
そこがいいかもしれません、要望が適って安い方法があればと)
施工業者がどのようか会社かわからない場合は、
区別が付けやすいですし、1つの判断基準にはなるでしょう。
知らない業者だから信用信頼とかもありませんからね。
判断のしようがないのです。
この図書の中で気になる点がありました。
『金額を最重要視しています。』・・・・と。
『こうした方が安く出来ますと提案して欲しい』・・・と。
この図書の内容を網羅して金額が安ければ
良いのでしょうか?
提案と言っても、家に対する価値観がわからないので
なんとも・・・・・。
見積もりはなるべくお値打ちに作りますし、
出来るだけ励んでみます。
でも、この図書を見ただけではお客様の家に対する
熱い『想い』がまったく解りません。
これが大変残念でなりません。
公共物件を作る場合は、事務的な作業と
施工になります。それなら入札のように
このような図書だけで金額も出せます。
しかし、住宅を造る場合はまったく別です。
造り手の想いとお客様との想いがあって、
お客様にとっての『良い住まい』が実際に造られますし、
それを作る元となる見積もりも同じです。
造り手とは、設計する私もですが、一緒に建築に携わる
職人さんや請け負う企業さんなど全てです。
お客様が一生懸命に『良い家をなるべく造りたい!!』
(ここでの良い家とは、お客様のあらゆる要望が入った家で
費用や間取り、機能や見た目などなど)
って気持ちが、職人や請負業者に伝わって動かします。
『あの人達のために!!!!』
『頑張って丁寧に堅固に造ろう・・・・』
『本当に!出来るだけ値打ちにできるように工夫しよう・・・』
『少しでも効率よく、経費削減に励もう・・』
『それならばこういう提案をしてみよう・・・』
って。
見積もりを作る請負協力業者には
打ち合わせをする私が代わりに感じて伝えています。
会ってよく話をした方と、
相手の方がよくわからない人とでは
『まけて~』と言われても、全く違います。
建売住宅やメーカー下請けの場合は、このような
『想い』にはなりません。
残念なことに・・・
如何に早く仕事を図面通り片付けるかが勝負です。
実際に建てるのは図面ではありません。
営業マンでもありません。
人が作るもの。
人が造るもの。
人が創るもの。
同じ作業でも気持ち次第で出来上がるものは
違うと思っています。機械相手の仕事ではないですし、
人間ですから。
(これが良いのか悪いのか賛否両論でしょうね)
また、うちのお客様の場合、メンテなどで
施工した同じ職人がず~~っと出入りします。
5年後・・・・ 10年後・・・
20年後・・・ 30年後・・・50年!?(生きてないか・・・)
気持ちのこもった良い仕事をしてなければ、
困るのは自分です。メンテなんかは。
また恥ずかしいでしょうね。仕事が悪ければ。
そんなことから、 『あの人達のために!!!』
が生まれ、『なるべくお値打ちに安く・・・』 『こんな提案どう?』となります。
概算見積もりでも。
お客様と一緒になって懸命に試行錯誤 し、
なるべくそのお客様にとって良い住まいを・・・
なるべくお値打ちに出せるように・・・・
と、造った時に初めて一番良い家が出来ると思います。
こうやって苦労して造った家をお客様に見てもらい、
喜んでもらえればなにより。
それが私どもや職人、請負協力業者ともどもにとって
一番の醍醐味なのですから。
職人っていうのはそういうものなんです。
単純なのです、すみません。
わがままなのかな・・・仕事で醍醐味なんて(笑)
仕事なんだから・・・儲かれば良いでしょ・・・・
とりあえず片付ければ・・・
こなせばよい・・・
こんな想いで働く職人さんたちを選んでないし、
そんな寂しい気持ちではキレイな仕事は出来ません。
ちょっと話が長くなりましたが、
ここまで図書をしっかりと書かれているのなら、
是非とも実際に会って想いを聞いて懇々と話をした上で
概算見積もりであっても書きたいです。
勿体無い・・・想いがわかれば色々とわかるだろうし、
色々試行錯誤したい。
機会があればですが、残念です。
(見積り締め切り迫る・・・)
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