遊び疲れ歌い尽くした朝の
生暖かく荒い
朝の駅の風の中で
ふと
抹香のかおりがした
自動に登るエスカレーター
私の前に
一人のおじさんがいた
ツルツルのあたまに若干のあおいいろ
剃りたてと伺えるその頭と
薫る抹香の風
太めの体に
特に特徴もないダークなスーツ
揃いのハードスーツケースとカバン
一目見ただけ
ただの男性
そう思っていたけど
登って行くエスカレーターから薫るのは
上品で薫きしめたばかりの抹香
もしや
このような場所でお坊さま?
まさかまさかと思ったが
エスカレーターのぼりきった
彼の腕には数多の数珠
風には風の
人には人の
季節が巡る
かのひとの役目は知らねど
深まり行く秋と
それすらさらい行く季節の風とに
想いを馳せ
ああ
常ならぬもの
と
心をとらわれる
夏草や
ツワモノどもが
夢の跡