​神隠しの森の激闘


神隠しの森


紅鏡暁と夕凪の

激しく拳がぶつかり合う中


先ほどまで降っていた雨が止んだ


「ちっ、驟雨のやつしくじったか

あの役立たずめが」


いろはを匿っている神社があるこの森で

いつまでも戦闘をするわけにはいかない


「小僧、良いことを教えてやろう

役立たずの許嫁は、仕置きに

首を絞めて殺めてやった

喰らう価値もない

鬼の娘の亡骸は

その辺にあることだろう

狐が噛み付いてきおって面倒だったのぅ」


どちらも俺にとって大切な家族だ

揺さぶりをかけようとしているのか


神社にいた妹は…

夕凪に

そんな仕打ちをされて…


苦しかっただろう

悲しかっただろう


俺に抱きついてきた意味が

ようやく理解できた


もっと早く気がつくべきだった


「何のために仕置きをする

必要があった?」


「…躾がなっておらぬからだ

お前ら、小僧を生捕にし

わしに捧げよ」


夕凪が妖力で操る

悪しき心を持った人間たちが

紅鏡暁を取り囲む


「さぁ、小僧どうする?」


夕凪がニヤリと不敵な笑みを浮かべる


この人数ならば

俺1人で何とかなるが…


神社と幻燈の休んでいる木を

守るためどう闘うか


相手は人間

俺の攻撃を喰らえば

ひとたまりもないだろうな


攻撃をかわす


「頭領とあろうものが

人間ごときに

何を苦戦しておるのだ?」


凛とした透き通る声がする