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何気無く停まった国道沿い。

そこから漁港へと下りる脇道に、吸い寄せられる様に走って行く。




(何かエエ感じの町やなぁ……)



いつもそう思いながらり寄道するのだが、結局は『へぇ~』と呟く程度で終わってしまう。

ま、雰囲気はいいけど何もないからね。

田舎の漁港に限らずだが、普通はそんなもんでしょ。







新鹿という海水浴場がある町でもウロウロフラフラ。
こういう店ではファンタオレンジを飲む男(または三ツ矢サイダー)。





(う~わ、めっちゃ雰囲気エエやん!何ココ?)




遊木という港町らしいが、それを『ゆき』と呼ぶのか『ゆぎ』と呼ぶのか『ゆうき』と呼ぶのかも分からない。
ただ、港の船溜まりの水もめちゃくちゃ綺麗で、そこには青く光る熱帯魚っぽい小魚が群れて泳いでいた。




(へぇ~、どこやココ?熊野か。あ、もう三重に入ってんのや……)




地獄の和歌山と言ったら和歌山県民に失礼だが、アレはもう泊まった場所が悪かっただけだ。宿さえ違ってたら静かでいい所なんだけどね。


『ゆき』って読むみたいだな。今気付いたわ。






近畿には一応20年くらい住んでいるんだが、この熊野や尾鷲方面に来るのはこれが初めてだ(白浜も)。
何で来なかったのかと言われても答え様がないのだが、例えば誰だって連休が取れたら遠くに行く事を考えるよな?peachに乗って沖縄・北海道とか。石垣島とかさ。
コロナなんてモンが出回り始める前は、オレだって御多分に漏れずそんな感じだった。

三連休なら宮城、四連休なら台湾、一週間ならタイかラオスだったし、とにかく隣の県なんてのは頭の片隅にも無かったもんな。似た様な人、沢山いるでしょ?






写真じゃ伝わらないのが悔しいが、下手にインスタスポットとかになるのも嫌だな。
このままでいてほしい。





(あぁ……いい……いいなぁ、ココ……)




港の正面にこれが漁港っちゅーモンじゃあ!といった感じで佇む漁協と、年寄りが歩くにはしんどそうな斜面に建ち並ぶ民家。
おそらくココは、住民でないオレなんかが歩いてたら一発で外国人扱いだろう。
う~ん……こんな御時世に大変申し訳ないが、でもやっぱりお邪魔してしまうよなぁ……
ま、誰にも近寄らんかったらエエか。







おそらく廃校だとは思うが、この小さな港町にしては立派な校舎だな。
都会に住む遊木小学校卒業生のみなさ~ん、これが癒しの一枚になれば光栄で~す!





(あ、やっぱり行き止まりか…)





町の隅々まで走ってはみたが、この遊木って町は国道への抜け道が一つしか無いんだな。




(つー事は、それこそ町内で不倫なんかしたらエライこっちゃな…)




全くもって余計なお世話なのだが、やるならバレない様にしてほしいよな。
子供を傷付けるのだけは止めてほしいもんだ。




(噂が早いんやろうなぁ……)




老後はそういう場所で余生を過ごすつもりのオレ。
帰るのは楽しみなんだが、夜が長いんだろうな。こういう町は。






どうよ?この佇まい。一発で好きになった。





「あ……こんにちは」



ヘルメットにグラサンにフェイスカバーじゃ全く分からないだろうが、漁協裏のバス停に座っていた60くらいの奥さんに挨拶する。
何か港町に不似合いなくらい上品な会釈にドキッとさせられたが、向こうは向こうで見慣れない人をココで見掛けるのは【出来事】なんだろうな。
会話もしてないけど貴重な一瞬だったわ、ホント。





遊木の港を後にして尾鷲市へ。
急に小雨がパラついて来たんで、こんな所で雨宿り。






(はぁ……エエ町やったなぁ、さっきのとこ………今日の宿キャンセルして、あそこで泊まれるとこ探そかな………いや、ああいう町はなぁ……大事に取っといた方がエエか……うん……)





一目惚れした町を、しょうもない事で嫌いになったら困るしな。
今より、もうちょいコロナが収まってからかなー?こういう世間の狭い町は。




つーか、どこがどう好きになったのかが全く伝わってないよね?
そらそうだわな、伝え方が分からないんだから。




ま、機会があったら一回行ってみ?




絶対に『なるほど』ってなるから。











雨宿りのお礼に、軽くで申し訳ないけど掃除しときました。ほなまた。