うっすらと明るくなってきた午前5時。
朝靄なんか、山奥の田舎に行けばどこにでも出るが、軽井沢だというだけで特別な気分になるのはどうしてだろう?(←庶民だからだ)。
チチチッ、チチチチッ……ジーッ!ジーッ!
野鳥のさえずりが響き渡る林……いや、森と言った方が正しく思える様な樹々に囲まれて迎えた朝に感じた事………
C・W・ニコルって、こんな空気の中で執筆してたんだろうな。開高健とかさー(-_-#) ←僻み
まず、木からしてムードが違うよな。
何か腹立つ。
まだ誰も起きて来ない早朝。
真夏だというのに気温は15度。
肌寒いを通り越して、ハッキリ言うと寒い。
そんな寒さを感じる新鮮な早朝に、森の中で淹れたてのコーヒーを飲む幸せ(←ネスカフェだけど)。
しっかり取った睡眠と薬が効いたのだろうか。
寝起きに計った体温は6度7分。
喉の腫れは多少気になるところだが、どうやら最悪の事態は免れたようだ。
「おはようございます」
「あ、おはようございます。こちらの別荘の方ですか?」
泊まっているゲストハウスの隣りにも別荘らしき木造の家があるのだが、夜明けから暫く経った辺りから草刈りを始めたおっちゃんが挨拶して来た。
「あーいや。私は管理で……」
「あー、そうですか。夏場はあっという間に雑草が伸びて来て大変ですね」
なるほどな、言うなれば【御主人様に仕えるセバスチャン】って訳か。
ま、それが需要と供給ってヤツなんだな。何かムカつくけど。
「立派な別荘ですよねー、年にどれだけ利用するかはわかんないッスけど」
「まあ……いいとこ一ヶ月くらいかねぇ?」
「一ヶ月!?一ヶ月滞在するために別荘建てるんですか?」
「本当にねぇ。アッハッハッハッ!羨ましいっていうか何というか………」
「失礼ですが、軽井沢にお住まいでこういう別荘の管理をされてるんですか?」
「そうそう。まあ、こんな別荘を建てる金持ちがいるおかげですな!ウチらが冬場食って行けるのは」
「冬場は…って、冬場は仕事が無いもんなんですか?」
「あー、軽井沢は初めて?」
「はい」
「今は年中開けてる店も何軒かあるけどねぇ、昔は年に半年も開けられない様な場所だったんですよ、ここは。夏しか観光客も来ないんでね」
やはり、滞在時には毎晩ローストチキンとか食べる人達なんだろうか?しかも丸焼きを切り分けて(←ロッキングチェア付)。
「はあ~……でも、こんだけ木に囲まれて、しかも湿度はめちゃめちゃ高いと思うんですけど、こんな木造の別荘って……すぐダメにならないスか?」
「そーよ!本当にそこ!元々、軽井沢って別荘建てるのに向いてない土地なんだよね。シロアリとかも凄いしさ」
「やっぱりそうなんですねぇ……いやしかし、世の中にはまだまだ金持ちって沢山いるんですねぇ……」
「それでも年々減ってますよ、別荘は。あっちこっちに別荘の廃墟ばっかり増えちゃってねー、今じゃタダ同然みたいな物件なんて幾らでもあるんだから」
「そうなんですか!?……オレ、買おうかな~…ンフフフフ♪」
「あー、止めといた方がいいですよ!税金対策で建ててる人ならアレだけど、そうじゃない人は年間の維持費だけですぐ手放しちゃうんだから。法人で建てた物件だって、どんどん売りに出されてるくらいだからね」
とにかく天気予報が全くアテにならん。
そこには確固たる需要と供給が存在しているのだろうが、それと同時に、今の日本経済がどれだけ衰退しているのかという現実をまざまざと見せ付けられた様な気もした。
確かに、夏は毎日虫との闘いで、冬は毎日寒さとの闘い。
物価は高いし、車が無けりゃ超不便。
夏の間に薪割りしとかなくちゃいけないらしいし(乾燥させる為)、買えば薪だって安くは無いそうだ。
で、ガスは勿論プロパンだし、とにかく光熱費や燃料代の高さに辟易して撤退する人が多いらしい。
う~~ん…………………………………
でも羨ましいけどね(^◇^)
一年くらい住んでみたいな、軽井沢♪←単純頭