翌朝は5時に目が覚めた。


川を挟んだ向こう岸には電車が走っていて、6時くらいから軋み響く走行音も然ることながら、広い川の流れがこんなにうるさいものだとは思いもしなかった。

浅い川って、意外と騒音なんだな。






朝食は熊本味で。
何でもそうだが、ノーマルが一番旨い。





本当なら、この日は白川郷にでも行ってみようかと思っていた。

が、地図で見てみると微妙に北西。
つまり、西側にちょっと逆戻りする事になってしまう。それが嫌だった。
面倒くせーな、オレのこういうとこ。





金庫がテレビ台代りというこのセンスよ……
誰か言い聞かせてやってくれ、オレには無理。




(さ~て……そろそろ行くか)




似たような人もいるだろうが、旅人というのは基本的にオレみたいな変人が多い(←だからあまり関わらない)。

と言ってもオレは特殊な部類に入るかもしれないが、観光=移動 なオレにとって、朝の出発時というのは一番苦手な時間帯で、何だか知らんがいつもだらだらウダウダしてしまう。

好きで旅に出たのに、『また移動か』とゲンナリする。

実際、田舎なんてどこに行っても大した変わりはない。
オレも含めて、人は何故遠くの田舎を目指すのかは永遠の謎だ。
大阪に住んでるオレにとって、隣の奈良なんか最高の田舎ツーリングが出来る格好の場なんだけどね。





一言だけ。
家じゃないんだから、まず工事しろ。







「ありがとうございました。お風呂、最高に気持ち良かったです」



チェックアウトしたのは8時。



そう声をかけた時に見せた幽霊女将の笑顔には癒されたが、そんないい顔が出来るならまず掃除からやり直せと言いたいのが本音。

風呂だけ褒めたのは、オレが知る数少ない京都式の皮肉だ、勘違いするな。









さ、いよいよ長野だ。