哀しみと感動の鵜戸神宮を紹介した所で先を急ごう。
さて、今夜宿泊予定だった詐欺宿を見限ったオレは、途中にあった道の駅で別の候補を血眼になって探していた。
本日泊まる予定地は日南の『油津』という町。
でもまたどうしてそんな読み方にも困る様な田舎を選んだのかと言うと、最近オレは田舎に移住した人達のYouTubeにハマっており、その中でも一番気に入っている家族がこの場所に移住した動画をアップしていて、そこで見た町の雰囲気がすっかり好きになってしまったのである。
ミーハーなのか?オレは。
(おっ、これ良さげやな!)
どこもかしこも満室だったり高めの料金設定だったりで、途方に暮れかけていた時だった。
油津の中心からは多少離れてはいるものの、個室なのに2500円という安さ。しかも今日はまだ空きがある!!
ただ、ここで油断すると結果的にぬか喜びになりかねないのが田舎というもの。
幸いにも楽天トラベルに登録してあったので、本当に直前だが即予約を入れてみる。
(ま、ダメならダメで普通のホテルにでも泊まればええか。下らんゲストハウスにビジホ並の金払うくらいなら、たまには壁にヘラジカの剥製でも飾ってある高級ログハウスか何かに泊まるのもアリや………うん、そうなったらやっぱりバスローブは必須やな。せやけど、そんな洒落たモン売ってる店がこの町にあるかどうかが問題やわ。え~っと、フルール下着の店…これじゃねぇな……エレガンスYOU…は婦人服か、ってやっぱりオレ疲れとるな。しっかりせいっ!)
(あった、ここか~)
R225を、あと少しで油津に着くっていう道沿いにある、一見すると普通のアパートに見える建物。
ネットの情報によるとここはサーファー御用達の宿らしいのだが、ライダーハウスみたいに布団は別料金で畳敷きの大部屋に相部屋とかではなく、必要最低限の設備は整っている様だ。
「こんちはー」
「はいどうもー」
隣接したサーフショップのドアを開けると、如何にも『私サーファー歴50年ですが何か?』という感じの初老男性が現れる。
「先ほど、楽天トラベルで予約した者なんですが」
「あーハイ、◯◯さんね。じゃあこちらに記入してもらって、先払いで2500円です」
………何この安堵感。
ちゃんと予約入ってたとかそんな事じゃなくて、これやん!この対応が普通やん!
《こんにちはいらっしゃいませ。ご予約の◯◯様ですね?それではまず最初に検温の方をお願いいたします。はい、ありがとうございます。それでは次に、こちらの方の宿泊者カードにご記入の方お願いいたします。はい、ありがとうございます。それではお部屋の方は3階の305号室の方になっております》
こーゆーのマジでゲロ出そうになんねん!
普通でええやん普通で!方方方方鬱陶しいねん!
ゲストハウスごときで格好つける前にまともな日本語勉強しとけアホンダラララララーーーーッ!!
いやホント、こんなバカな言葉遣ってるとこに限って《おかえりなさい》とか《気楽にくつろげる》とか《何もしない贅沢》とか意味不明な事を言うんだわ。マジで下らねーぞオマエら。
「じゃあ、これ部屋の鍵です。こっちが共同のシャワールームで、部屋はこの隣り。今日は他にお客さんいないんで、シャワールーム近い方がいいと思って」
「いや助かります。直前の予約で迷惑だったかもしれませんが、ちょっと色々とトラブルがあったもんで」
「いやいや、大丈夫ですよ。この時期、街の中心にあるホテルとかはいっぱいだったでしょ?広島カープのキャンプシーズンなもんでね。あーそれから、ここら辺はお好み焼き屋くらいしか店が無いんで。あとはコンビニがバイクで1分のところにありますから。あ、バイクはねー、良かったら屋根の下に停めといた方がいいですよ。夜中に雨降るかもわからんから」
………一体何なんだよ、この対応の違いは。
神か?神なのか貴方様は?お願いですから高知市と佐伯のバカタレどもに、当たり前の接客というモノを教えてやっては頂けませんか?