画像1:ウィンドウズXPのシステム情報画面。一番上の「システム」部分でサービスパックの適用状態を確認できる。サービスパック3が適用されているのがわかる
画像2:ウィンドウズビスタのシステム情報画面。上部の「Windows Edition」の欄で、サービスパックの適用状態を確認できる。サービスパック2が適用されているのがわかる
画像3:個人向けウィンドウズOSのサポート終了日(2010年6月17日現在)。延長サポートが適用されないビスタは、XPより2年も早くサポートが終わってしまう
マイクロソフトは、「ウィンドウズXPサービスパック2」のサポートを7月13日に終了します。「えっ? ウィンドウ
ズXPのサポートが終了しちゃうの?」とか「電話サポートは使ったことがないから関係ないな」なんて考えた人が
いるかも知れませんが、実際はちょっと違います。実は、4月にはウィンドウズ・ビスタの初期版のサポートも終
了しています。今回は、ちょっと複雑な、「ウィンドウズのサポートの終了」について解説しましょう。
「サービスパック」のサポートが終了する
最初に誤解を解いておきましょう。まず、「サポートが終わる」と言っても、ウィンドウズが使えなくなるわけでは
ありません。それから、今回マイクロソフトが「サポートを終了する」としているのは、正確には「サービスパックサ
ポートの終了」と言われるもので、「ウィンドウズそのもの」のサポートとは別です。
サービスパックとは、ウィンドウズやオフィスなど、マイクロソフトの製品に提供されている「更新パッケージ」のこ
とです。これらのソフトでは、発売後にも不具合の修正やセキュリティーの更新、新機能の追加などを行うため
に、何度も追加の更新プログラムが提供されています。ある程度の時間が経過した段階で、過去の更新プログ
ラムをひとつにまとめ、さらに特別な新機能などを追加するために配布されるのが「サービスパック」です。つま
り、サービスパックをインストールすれば、それ以前に配布されていた更新プログラムを入れる必要がなくなるわ
けです。
現在、ウィンドウズXPでは「サービスパック3(SP3)」まで、ビスタでは「SP2」までが、それぞれ配布されていま
す(XPの64ビット版はSP2まで)。今回サービスパックサポートが終了するのはXPのSP2とビスタの初期版
(RTM版ともいい、サービスパック提供前のもの)ですから、いずれも、より「新しいサービスパック」が出ている
ことになります。ちなみに、09年10月発売のウィンドウズ7は、初期版のみでサービスパックは出ていません。
「サービスパックサポートの終了」とは、「より新しいサービスパックが入っていない状態では、サポートを終了し
ます」という意味です。ウィンドウズXPならSP3(64ビット版はSP2)、ビスタならSP1かSP2のどちらかが入っ
ている状態なら、まだサポート対象なのです。
自分のウィンドウズがどの状態かは、簡単に確認できます。「スタート」メニューを開き、「マイコンピューター」(ビ
スタでは「コンピュータ」、7では「コンピューター」)を右クリック。表示されたメニューで「プロパティ」を選びます。
XPでは画像1、ビスタでは画像2が表示されるので、ウィンドウズの製品名を確認しましょう。それぞれ、「コント
ロールパネル」の「システム」からでも呼び出せます。
通常、ウィンドウズの自動更新が有効になっていれば最新のサービスパックが適用済みなので問題はないはず
ですが、適用されていない場合は、記事の最後にあるリンク先のページを参照し、ダウンロードするか、ディスク
を入手するなどして、最新の状態にしておきましょう。
ちなみに、ウィンドウズXPにSP3を入れるには、SP1かSP2、ビスタにSP2を入れるのはSP1を、それぞれ先
に入れておく必要があります。
「セキュリティーの更新」終了が最大のリスク
サービスパックサポートが終了することの意味は分かったと思いますが、そもそも「サポートが切れたら何が困
るの?」と考える人も多いでしょう。書店には解説書がたくさんありますし、インターネットにもウィンドウズの情報
を掲載するページがあふれています。「困ったときに電話する」のも、マイクロソフトよりパソコンメーカーのサポ
ート窓口ですよね。
ところが、ここでいう「サポート」にはもっと広い意味があります。「ユーザーが相談できなくなる」というだけではあ
りません。実は、サービスパックサポートが終了してしまった状態だと、更新プログラムが提供されなくなり、不
具合の修正やセキュリティーの更新が行われなくなります。自動更新で何も更新されないのはもちろんのこと、
新しい修正プログラムを自分でホームページからダウンロードしてきてもインストールできません。
つまり、「サポートが終了した状態」では、パソコンを使い続ける上で、非常に危険な状態になってしまうのです。
安全のため、最新のサービスパックを適用することをおすすめします。
「製品サポートが終わる」のはいつか
それでは、最新のサービスパックが入っていれば、ウィンドウズXPやビスタ「そのもの」のサポートは今後もずっ
と続くのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。マイクロソフトは、製品が発売されてから最短で5年間を「メインストリーム
サポート」、続く5年間を「延長サポート」の期間としています。メインストリームサポートの期間はすべてのサー
ビスが提供されますが、延長サポートの期間になると、新機能の追加(新技術への対応)や無償の電話サポート
が受けられなくなります。ただし、2001年末の発売から5年経っても次の製品(ウィンドウズVista)が発売され
なかったウィンドウズXPのようなケースでは、次の製品が発売されて約2年間が経過するまで、メインストリーム
サポートが延長されます。
延長サポートが提供されるのは原則的に企業向けの製品だけなのですが、XPは後継のビスタやウィンドウズ7
が発売されてからも使い続けているユーザーが非常に多いのに加え、ビスタ時代にもネットブックなど格安パソ
コンに搭載されることが多かったため、すべてのエディション(版)で延長サポートが提供されています。
サポート期間が終了すれば、サービスパックサポートの終了と同様に、更新プログラムの配布などもすべてが
終わります。その後もパソコンを使い続けることはできますし、他のソフトやパソコン、周辺機器等のサポートは
続くでしょう。しかし、セキュリティー上の懸念を考慮すると、新しいウィンドウズの導入、もしくはパソコンの買い
換えをお薦めします。
その日はいつでしょう。ウィンドウズXPは延長サポートが2014年4月8日(メインストリームサポートはすでに2
009年4月14日終了)、ビスタは2012年4月10日(メインストリームサポート。企業向けのエディションはさらに
延長サポートがある)です(画像3)。ビスタのホームベーシック、ホームプレミアム、アルティメットの各エディショ
ンは、延長サポートがすべてのエディションに適用されるウィンドウズXPより2年も早くサポートが終わってしまう
のが皮肉です。
ちなみに、XPより古い「ウィンドウズ2000プロフェッショナル」の延長サポートも、7月13日で終わります。それ
より古い95などは、すでにサポートが終わっています。
ウィンドウズだけでなく「オフィス」などにも、バージョンごとのサポート期間が設定されています。製品ごとのサポ
ート期間は「プロダクトサポートライフサイクル―製品一覧」のページから確認できます。ちょっと分かりにくいで
すが、気になる人はチェックしてみてください。
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ウィンドウズXPサービスパック3(マイクロソフト) http://www.microsoft.com/japan/windows/products/windowsxp/sp3/default.mspx
ウィンドウズ・ビスタ・サービスパック2(マイクロソフト) http://www.microsoft.com/japan/windows/products/windowsvista/sp2/default.mspx
プロダクト・サポート・ライフサイクル―製品一覧(マイクロソフト) http://support.microsoft.com/gp/lifeselect/