年末が近づき、なんとなくあわただしい毎日を過ごしていませんか。
忙しい毎日を過ごしていると、ちょっとしたことにも腹立たしさを感じたり、人に当たってしまったり、知らず知らずのうちに自分の顔が険しくなっていることがあるでしょう。「笑う門には福来る」ということわざがありますが、疲れている時、落ち込んでいる時に人の笑顔に救われることってありますよね。
今回は笑いが人間にもたらす力についてお話したいと思います。

古代ギリシャでは喜劇を見ることが病気の治療法とみなされていたり、紀元前の中国の医学書に「笑いは健康に良い」と書かれていたり、笑いが健康に与える良い影響について経験的に知られていました。最近は笑いには人間を元気にしてくれる大きな力があることがいろいろ研究されており、医学的にも証明されています。

笑うことでストレス低下
人間はストレスがかかると、気持ちが落ち込んだり、お腹が痛くなったり、肩が凝ったり、胃潰瘍になってしまったりと、いろいろな形で何かしらの症状が現れますね。このストレスの解消法として「笑い」の効果を、大阪府立健康科学センターでは、落語を聞く前と後の唾液中のストレスホルモンの変化を調べて研究しています。落語や漫才を聴いて私たちは笑いますが、落語を聞いた後では多くの人が、ストレスが和らいでいるという結果が得られています。特に普段からよく落語を聞いている人やいつも声を出してよく笑っている人の方が数値がより下がっていることが分かっています。暮らしの中でより笑う人ほど笑いの効果は大きいようです。

笑うことでがんへの抵抗力も高まる
私たちの体内には免疫システムのひとつであるナチュラルキラー(NK)細胞があり、がん細胞をやっつける働きがあります。健康な人の体内では一日に3000から5000個のガン細胞が発生していますが、人が生まれつき持っている50億個のNK細胞がこれを破壊しているおかげで、ガンにおかされずにすんでいることがわかっています。さらに漫才や喜劇を見てもらい、そのあとにこのNK細胞の働きを確認したところ、数値が低かった人も正常範囲までアップすることも実験から明らかになっています。(Dr.伊丹仁朗&Dr.昇幹夫共同研究「ガン細胞を攻撃するNK細胞の元気度」、1992年)

このほか、笑うことでリウマチの痛みが緩和されること、糖尿病の血糖値が低下すること、脳が活性化することなども認められています。

もともと人間の身体には自然治癒力が備わっています。気力がなえている時には病気になりやすい状態です。笑うことによって人は気持ちを明るくしプラス思考に変換する事ができ、病気に打ち克つ力が出てきます。
この笑いの効果は作り笑いからでも効果があるそうですので、面白くないことがあってもまず、表情だけでも笑顔を続けることでもよいそうですよ。
忙しくてついイライラしてしまうとき、うまくことが運ばないときこそ、ちょっと微笑むことを心がけてみてはいかがでしょう。そしてあなたの笑顔は周りの人も元気にすることでしょう。