Q1.漢方薬とハーブってどう違うの?
同じ生薬ですが、発祥地と使い方が違います。
簡単にいうと漢方薬は中国で発祥した医学がもとになっていますので、中国由来の生薬が主に使われています。これに対してイチョウの葉やノコギリヤシといった生薬(ハーブ)は西洋発祥のもの。また西洋発祥の生薬は、ひとつの症状や病気にひとつの生薬を使うのが一般的ですが、漢方ではひとつの生薬だけを使うことはほとんどありません。


Q2.ドクダミや高麗人参も漢方薬?
ひとつの生薬では漢方薬とはいいません。
ドクダミも高麗人参も漢方薬の素材ですが、ひとつの症状や病気に対してひとつの生薬を飲むのは民間薬の考え方。漢方ではほとんどの場合、複数の生薬を組み合わせて、漢方医学の理論にもとづいて使います。


Q3.漢方薬ってどんなものでできているの?
薬草などの生薬と、ときには鉱物も使います。
漢方薬の材料としては芍薬(しゃくやく)や甘草(かんぞう)、人参など植物性生薬が多く使われますが、薬によっては石膏(せっこう)や滑石(かっせき)といった鉱物を使うものもあります。珍しいものでは「竜骨(りゅうこつ)」という新世代の大型哺乳(ほにゅう)動物の化石や、「牡蛎(ぼれい)」というカキの貝殻、「蝉退(ぜんたい)」というセミの抜け殻なども使われています。


Q4.漢方薬は副作用がないっていうけどほんと?
体にやさしいですが、副作用が出ることも。
漢方薬は長い歴史のなかで発展してきたもので、使う素材もショウガや米、小麦などふだんの食事でとるものも多いので、体にやさしい薬といえるでしょう。ただ、そうはいっても薬は薬。ときには副作用が出ることもあります。


Q5.漢方薬って苦くて飲みにくそう……。
飲みやすい丸剤などもあります。
漢方薬といえばイメージとしてはせんじ薬でしょう。確かにせんじ薬もありますが、最近では顆粒(かりゅう)のものや、はちみつで固めた丸剤など飲みやすいものもあります。また、体に合うものは飲みやすく感じられるものだといわれて思います。


Q6.漢方って、中国の医学?
漢方は中国生まれ、日本育ちです。
漢方は古代中国で生まれて体系化されたものが日本に伝えられ、独自に発展したもの。つまり日本人の体質などに合わせて改良されてきたものなので、「日本漢方」「和漢治療」などと呼ばれることもあります。ちなみに中国の医学は「中医学」、薬は「中薬」と呼ばれています。


Q7.西洋医学と、どんなふうに違うの?
漢方では症状と全身の状態を重視します。
西洋医学ではご存じのように病気の部位(臓器や器官)と病名の特定が治療の大前提。現代では検査所見を重視。一方、漢方では自覚症状を重視。どんなにささいでも症状があれば、全身のバランスがくずれているものとして、改善するべく治療がはじめられます。


Q8.漢方ってどんな症状におすすめなの?
なんとなく不調、病気ではないけれどつらい……。
なんとなく疲れる、肩がこる、生理痛がひどい。病院の検査ではどこも悪くないけれど体調が悪い。こんな症状は漢方の得意分野。漢方の基本の考え方は「未病を治す」。ちょっとした不調でも気軽に受診してみるのも、漢方の上手な利用法のひとつです。


Q9.漢方薬とサプリメントは一緒にとってもいい?
医師や薬剤師にまずは相談を。
自然の生薬を使っているとはいえ漢方薬は薬。副作用も、飲み合わせによる悪影響が出ることもあります。サプリメントなどを併用するときは事前の相談がおすすめです。


Q10.最近、漢方ってよく目にしますがなぜ?
新しい効能も発見されています。
漢方薬は、健康保険薬として1976年に収載され、その有効性が科学的に実証されて以来、普及してきました。また、西洋医学のようにひとつの症状や病気に焦点をしぼって診るのではなく、全身を診るという考え方も広く受け入れられた要因のひとつです。たとえば女性によくある肩こりと便秘、生理不順といった不快症状は、西洋医学では複数の診療科を受診しなければなりません。でも漢方では「それらは関係しているのではないか?」と考えます。そして本当にひとつの漢方薬で諸症状が緩和されることがあります。こうした全身を総合的に診る視点に加え、最近では認知症に漢方薬が有効であるなど、新しい効能も発見され、さらに注目を集めてきています。