目覚めると
恥ずかしそうに顔を隠し
「今夜また来てくれる?......」

夜の街に立つ彼女の姿からは
想像も出来ない澄んだ心を感じた。

もし、平和な国に生まれていたら?
彼女の人生は? と思うと...
居た堪れない気持ちになる。

今まで、彼女達の様な人間を軽蔑し
愚かな人間と思っていたが、
日本人では想像出来ない貧困と差別が
今を選択せざる得ない状況であり、
それを喰い物にする日本人がいる。

これが悲しいが現実である。

優位者の偽善であると分かっているが...

日本に来て楽しかった想い出を作って上げたい
歓迎してくれた二人のルームメイトにも...

喜んで欲しい‼︎
現実を忘れ、楽しんで欲しい......

つづく

「タティアナ! あなたは?」

 

私の名前が発音しづらいのか?

「K!」と頭文字で呼ばれる事に......

 

ルームメイトは「アルマ」と「ナタリー」

 

アルマはアラブ系コロンビア人で

日本に来たのは初めて

 

ナタリーはイタリア系コロンビア人

ハワイと日本を3カ月周期で往復している

コロンビアには子供がいる

 

二人とも凄く陽気で質問責め

言葉も分からずしどろもどろ.......

 

ようやく皆んな寝る事になり

私はタティアナの布団で

一緒に寝る事になったが.........やっぱりだ‼︎

 

突然、二人とも寝たふりのイビキをかいたり

覗いたりと子供の様な行動を.........

 

しまいには........

「もう寝てるからHして良いよ‼︎」とちゃかし

タティアナが「うるさい!」と怒った。

 

まるで、修学旅行の様な光景で

みんなが寝付いたのは明け方.......

 

でも、とても楽しい一日で

腕に抱いたタティアナの寝顔は

やはり可愛い天使だった。

 

つづく

彼女の住む家は小さなアパートの
1階で住宅街にある。

まあ、歓迎されている事は
十分に伝わって来たが......
かなりのハイテンション‼︎...

追い払われたルームメイトが
飛び跳ね! 自分のエリアに戻る姿は
まるでペットの様で面白い!

温かい...
とても心地よい...

不思議な空気感であるが
居心地がいい......

彼女達はこの国の底辺にいるはず?

こんなにも穏やかで...

 なぜ楽しそうに過ごす事が出来るのか?

「裕福」と「幸せ」は違う
彼女達が最初に教えてくれた事だった。

つづく

深夜2時を過ぎたが

ジョンは帰って来ない......

 

朝帰りのジョンは

「彼女達の家で遊んでた!」上機嫌である。

 

何だか状況が分からないが?

「2万円は?」と聞くと「無いよ!」

 

「えっ⁉︎」

2万円は大金なので詰め寄ると

「今日、お弁当を売ったお金で返す」

またもや軽い返事で...

仕方なく今夜もあの街へ......

 

仕事が終わり、昨夜のバーに行くとジョンは

まだ、弁当売りをしていたので先に店に入り

飲みたくないビールと

小腹が空いたのでポークソテーを頼み

ジョンの仕事が終るのを待った。

 

しばらくすると近くに居た外国人少女に

「昨日、ごめんなさい」

と片言の日本語で話しかけられた。

 

不信に思い無視すると

「あなたジョンの友達?」と聞かれた。

 

そうか⁉︎

昨夜、ジョンと遊んでた友達かと思い?

 

「大丈夫」と答えると

 

「お金貰ったのに御免なさい......」

 

さすがに鈍い私でも事態を理解した。

ジョンは私から借りたお金で!

昨夜、乱痴気騒ぎをしたのだ‼︎

 

申し訳無さそうな顔をする

彼女をよそに怒り心頭である‼︎

 

ジョンを呼びに行くと

弁当代を持って逃げていた‼︎

 

イラだって店へ戻ると先ほどの彼女は

ブランデーをストレートで飲んでおり

満面の笑顔を見せられた。

 

よく見ると……彼女は

整った顔立ちに美しい瞳は

まさに天使そのもので

吸い込まれるオーラに思わず

 

「これあげる‼︎」と知人用に買った

高級ブランデーを手渡してしまった‼︎

 

何やってるんだ俺は〜 と思ったが、

喜ぶ彼女を見てま〜あ良いか!と思え

照れながらポークソテーの残りを食べた。

 

「時間大丈夫? 遊び行かない?」

 

(遊び行かない=売春)と思い

現実に立ち返り「行かない」と断ると

 

「違う!  友達と3人で住んでるから家に

遊びに来ない?」と理解に時間が掛る

片言の日本語で説明してきた。

 

突然の誘いに恐怖感も有り

迷ったが、それ以上に説明し難い

運命的感覚が家に行く事を許した。

 

つづく

 

仕事を終えたジョンが
「バーに行こう!」と誘うので
通り沿いのバーに向かった。

「ジョンくん! お友達?」と
お店のママが歓迎してくれた。

日本人客がいない店で
何だか自分も不法労働者のような気分だ。

とりあえず、
酒はあまり好きではないが
ビールを頼み飲んでいると
ジョンがポケットのお金を数えながら

「幾らある?」と聞くので、

「2万円」と伝えると

「貸して!」と言われた。

言われるままに貸してあげると。
「先に私の家に帰ってて」と言われた。

意味がわからず不信な顔をすると
「後で彼女達を連れて帰るから!」

ますます意味が分からないが
取り敢えずジョンの家へ向かった。

つづく

この街に?

 

妖艶で、異国の様な変貌を映し出す街は

様々な国籍、性別でにぎわい

狂気の熱気に包まれている。

 

ここは本当に、毎朝通る道なのか?

自分の眼を疑う光景である。

 

50〜60人程はいるであろう様々な国籍の売女が

数名のグループを作り獲物を捕らえる。

 

通りには、売女の溜り場となるバーがあり

休憩するもの、食事をするもので混雑し

まるで社員食堂の様な状態である。

 

ジョンのお弁当を買う客とは 

まさにこの売女達である。

 

彼女達は日本の食事では無く、

自分の国に近いジョンのお弁当を楽しみにしている。

 

1食¥2,000(飲物付き)は、

20食程あったがすぐに完売した。

 

彼女達は道端に座り食事を楽しみ、

ジョンは終わった容器を回収している。

 

何とも不思議な光景である。

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以外に立派なマンションで
ここなら不審者は住めないかな?

自分に対する安心感を探しつつ
気持ちを落ち着かせた。

インターホンを鳴らし名前を伝えると
案の定、無愛想に聞き直されたが

「オー‼︎」と思い出した声を上げ玄関を開けてくれた。

「お邪魔します」と中へ入ると........
やっぱり.....  上半身裸の王様ムキムキアラブ系に

「ハーイ」と声を掛けられた‼︎

「こんにちは」当たり障りない挨拶をすると
「怖い?」と聞かれ

そりゃ〜怖いさ〜‼︎
そう思うなら服着ろよ〜!
心で叫びながら

「大丈夫〜」と意味のわからない返事を返した。

「みんな日本人は見ただけで怖がるだよね.....」
「家に来た日本人はあなたが初めて‼︎」

そりゃそでしょ!
見た目が怪し過ぎ‼︎
テロリストみたいだし‼︎!

とにかく落ち着け! 落ち着け〜!
自分に言い聞かせ
「そんなことないよ〜」
またしても不自然な返事を.....


「私達コロンビア!」
「 コックの仕事! 」
「二人で住んでる!」
テロリスト風の男が話しかけて来た。

続いてコインランドリーの男が
「私 ジョン」と名前を伝え握手してきた。
テロリスト風も「私 ホセ」と握手してきた。

とりあえず和やかな雰囲気になり
「何にか食べる?」と言って冷蔵庫から
綺麗に角切りにした野菜数種類と鶏肉
そしてタコスの皮を持ってきた。

へえー......!
レストラン並みだと思い

「凄いね!」と褒めると

「俺たちの国ではお腹が空いたら
いつでも食べれるように用意してあるんだ」と
案外普通な答えが返ってきた。

ホセはフランス料理のレストラン、
ジョンはお弁当を売る仕事をしてるから
二人とも料理が上手いと聞かされ

まあ、悪い人間では無さそうだし

偏見を持つのは良くないし......

こうして不思議な付き合いが始まった。

つづく

「ハーイ!」

 

目が合うなり片手を挙げた男は

家から持ってきた洗濯物を乾燥機に入れ

同じく待ち椅子に腰掛けた。

 

「あなた!家どこ!」

 

オイオイ!

片言の日本語でいきなりそう来たか‼︎

 

ここ日本では、

あんたの様な不審者に家は教えないだろ!!

と思いながらも警戒心を解く笑顔に思わず

「この裏!」と指をさしてしまった。

 

「私、あそこ!」と目の前のマンションを指差した。

「遊びに来ない!」

 

無理でしょ!こんなに怪しいあなたの家に.... 

そう思いながらもまたも調子の良い笑顔に断り切れず

 

「洗濯が終わったら行くよ」と約束してしまった。

 

つくづくお人好しだと思いながらも

約束を違える事が嫌な私は

渋々、

彼のマンションへ行く事にした。  

 

つづく

 

ありがとう.....

思えば不思議な出逢いだった。

時が緩やかに過ぎる心地よい感覚は今でもよみがえる........

 

 

 久しぶりの休みなので溜まった洗濯物を片付けたく

近所のコインランドリーに行く事にした。

 

珍しくこの日は待つこと無く

2台の洗濯機を使い洗濯を始める事ができ

何だかほっとして待ち椅子に座り

置き忘れの雑誌を読み始めると超絶な鼻歌が聞こえてきた。

 

日本人で無い事は直ぐに分かったが、

何処の国の人かは分からない。

 

随分と陽気な男の声である。

 

 

つづく