羽生選手へのお手紙の続きは

また今度書かせて頂きますね。

もうすぐ３月11日がまたやってきます。

最近、「被災地の今」という感じで

テレビのメインキャスターたちが

急に被災地を訪れリポートしています。

あの地震の時、羽生選手は仙台のスケートリンクで練習していたと

聞きました。

羽生選手はオリンピック前だったとはいえ、既に有名選手でした。

それでも数日間避難所で生活したと言っていました。

その事実に驚きましたが、自然の前に人間は無力です。

仙台では都市ガスの配管が壊れ、ガスの復旧に１ヶ月半程かかり

当然お風呂に入れない日々が続きました。

電気も止まったので、スーパーもコンビニも、信号も点灯していません。

生まれて初めて、街が真っ暗な光景を見ました。

コンビニも震災では何も役立たないことを知りました。

水道も止まったところが多かったので、マンションに住んでいる人々は

水を汲んで上の階に運ぶだけでも大変な毎日を送ったようです。

電気が止まっていた数日間はラジオだけが情報。

若林区の海岸に200人の遺体、という第一報を聞いた時、

「随分被害が出たなぁ」と思ったものでした。

数日間、余震続きで着のみ着のままでしたが、何日かすれば

電気が復旧するから大丈夫と思っていました。

電気が復旧して初めてテレビをつけた時、沢山のヘリが

海岸を映している映像を見ました。

津波で200人どころではなく

20000人が流された、亡くなったことを初めて知りました。

津波のことは数日間知らず、そのショックは計り知れないものがありました。

地震ではなく、津波でほんの20分以内に

県内だけで20000人以上の方が亡くなっていたとは。。。

津波にのまれたけれど、どこかに偶然打ち上げられたりして一時助かった方でも、

救助も無く、その後の寒さで凍死した方も多かったようです。

14時40分頃と言ったら、いくら３月と言ってもまだ明るい日中。

当日は雨も降っておらず、晴れでした。

無情にも、震災後雪がチラチラと降り始めました。夜はかなり気温が下がったことでしょう。

夜中の震災だったらもっと被害が大きくなっていた可能性もあるのかな。。。

宮城県は大きな地震が来ると何度も言われていたので、

地震の心構えや地震対策はかなり行われていました。

地震の倒壊などで亡くなった方は少なかったと感じます。

地震の後、車で慌てて塩釜に帰った職場の方は

「戦争のような光景だった」と言っていました。

道路に遺体がゴロゴロと転がっていて

その遺体は泥だらけ。

その後精神的に追い詰められ、職場を休んでいました。

私はそのような被害を直接見ないで済みましたが、

震災後は毎日放射能の値が新聞に載るようになりました。

また、ご遺体が見つかったという情報が何年も毎日毎日新聞に載っていました。

（今は見つかったという情報も少なくなりました）

それでも今でも行方不明の家族を探している方もいます。

震災の後、生活はひどかったですが、

20000人が亡くなったことを考えると

愚痴を言う人もいませんでした。

家族や親戚が直接亡くなった方はもちろん、

そうではなくても

様々な影響を受けている人は沢山います。

いつも暗い気持ちで生活しているのではなく、

でも何年経っても続く

記憶や、変わってしまったこと、

終わっていないこと

そういうことを受け止めて

口には出さずに黙々と生活しています。

４年前の羽生選手のオリンピック金メダルは

東北の人の大きな勇気となりました。

そして今回のオリンピック。

怪我から復活して連覇してくれたという

ストーリーにも

大きな励ましをもらっているようです。

国民栄誉賞については、連覇はすごいものの

内村選手や北島選手、その他野村選手など

まだ貰っていないすごいアスリートもいるのに、という

意見もあるようですし

安倍さんが人気のある羽生選手に

国民栄誉賞をあげることで人気取りなの？と思う方も。

そのような気持ちもわかります。

私も国民栄誉賞はまだ少し早いのかなぁと

思った時もありました。

でも、私が浅はかでした。

羽生選手は自分のためでもあるけれど

日本人として、東北の人間の代表として

世界で戦ってくれました。

普通に羽生選手の演技や

ルックス、人柄が好きというファンも

多いでしょう。

でも自分などには想像できないような

辛い気持ちを押し殺して

生活している震災被害者も沢山居て、

そのような人々に大きな力と喜びを

与えてくれたのだと思います。

もし、国民栄誉賞を授与されるとしたら

羽生選手は個人としての頑張りや連覇という結果と同時に

多くの日本と東北の人を勇気づけてくれた

という功績に対して授与されるのだと思います。

前回のオリンピック後多額のお金を仙台へ寄付している姿からも

自分のためだけに今回の受賞を受けるわけではないと

感じます。

羽生選手が国民栄誉賞を受賞することで、

沢山の傷付いた方々が

少しでも喜びを感じたり

生きる力を得られたら

こんなに嬉しいことはないです。