BSプレミアムにて、

『アラスカの光と風 星野道夫×大竹英洋 時を超える旅』

朝8時から再放送がありました。

 

 

初回放送(2023/4/3)も、録画もして観ていたのですが

再視聴のチャンスに恵まれると、何度でも観てしまう。

 

 

星野道夫さんが亡くなって、今年で27年。

 

星野道夫さんに憧れ、写真家になった大竹英洋さんが

星野さんの足あとをたどってアラスカの旅に出る番組。

 

撮影は、2022年5月中~9月下旬にかけて行われたという。

まさに、今現在のアラスカが映像で観られる、とっても壮大なドキュメンタリー!

 

 

映像には、クリフォード・ウェイオワナさんの姿があった。

星野さんが、19歳のときに

シシュマレフに手紙を送ったときに

返事をくれた人…。

アラスカと星野さんを結び付けた運命の人。

 

 

カリブーの大移動に遭遇。

カナダとの国境近くにカリブーの群れがいるとの情報が入り

星野さんを慕うガイドが協力を申し出てくれる。

 

『風とカリブーの行方は誰も知らない』

その数、数十万にもなる群れで移動するカリブー。

しかし、広大なアラスカの大地、見つけるには非常に困難。

 

 

 

まだ人間の手が届かない原野を、

数十万頭のカリブーが旅をする風景を

僕たちはただ茫然と見下ろしていた。

『今俺たちが見ているのは、1000年、いや10000年前と

 何も変わらない世界なのさ』

隣で操縦するドンのつぶやきが、

マイクを通してヘッドフォンから聞こえてきた。

 

きっと人間には二つの大切な自然がある。

日々の暮らしの中で関わる身近な自然。

そしてもう一つは、訪れることのない遠い自然である。

ただそこにあるという意識を持てるだけで

私たちに想像力という豊かさを与えてくれる。

そんな遠い自然の大切さが、きっとあるように思う。

 

トナカイの研究者、フラン・マウアーさんから、こんなエピソードを聞く。

「吹雪の後、原野でキャンプ中の星野さんを心配して

 飛行機で立ち寄った

 彼のテントは吹雪で氷だらけでした。

 飛行機に乗せて欲しいだろうと思いきや

 ミチオは大きな笑顔で飛行機まで来て

 『トナカイはどこにいるか分かりますか?』と聞くんです。

 『トナカイを見ましたか?』って

 帰りたいのではなく、もっと残りたかったんです。

 

ケン・ウイッテンさんからは、

『彼は恥ずかしがり屋で、丁寧で、とてもしぶとかったんです。

 空撮をしたいときに、今度は乗せてとお願いしてきましたから」

 

 

 

 

海へ。

 

星野さんと交流があったクジラの研究者たちは
尾びれの形や模様で、3000頭以上のクジラを見分けられるとか。



星野さんが撮った写真を見てもらうと



このクジラはまだ生きていて、アラスカの海を泳いでいるという。

名前は、コルヌコピア。

星野さんのクジラエピソードからは、思い出すことが多い…

 

突然、一頭のクジラが目の前の海面から飛び上がったのだ。
巨体は空へ飛び立つように宙へ舞い上がり、一瞬止まったかと思うと
そのままゆっくりと落下しながら海を爆発させていった。
それは映画のスローモーションを見ているような壮大なシーンだった。

目の前で起きた光景に、友人は言葉を失っていた。


ずっと後になってから、彼女はこんな風に語っていた。
「東京での仕事は忙しかったけれど、本当に行って良かった。
何が良かったかって? それはね、私が東京であわただしく働いている時、
その同じ瞬間、もしかするとアラスカの海でクジラが飛び上がっているかもしれない、それを知ったこと……」
 

ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。
日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど大きい」

 


 

そして、神話の世界へ…

南東アラスカから続く無数の島々を

星野さんは、トーテムポールを探し続けた。

熊、シャチ、ワタリガラス…

 

トーテムポールは、あと20年から30年のうちに

朽ち果てていく。

 

私たちはいつの日か、トーテムポールが朽ち果て
そこに森が押し寄せてきて、

すべてのものが自然の中に消えてしまっていいと思っているのだ。
そして、そこはいつまでも聖なる場所になるのだ。

 

 

 

シトカ。

 

星野さんは、クリンギッド族のボブ・サムさんと出会い
神話の中に、人が自然と共に生きるための智恵を感じ

ワタリガラスの神話を探る旅を始めた。

 

その矢先に、43歳の若さで亡くなりましたが

 

 

この番組には、遺された贈りものがありました。

 

地下の部屋から、

26年ぶりに偶然見つかったカメラ。

亡くなる3年前に使い始めたパノラマカメラの中に残っていたフィルム。

 

フィルムには、ホッキョクグマの写真が残されていました。

 

 

 

時を超えて、星野さんから届いた手紙のような写真
30年近く前の氷の海は、今最も温暖化の影響を受ける場所のひとつです。
「この世界が残されていますか?失われていませんか?」
と問い掛けるメッセージのようだ。

星野さんの旅の出発地となったシシュマレフ
今、水没の危機が迫り村の移転が決まりました。

海が凍る期間が短くなり、波が永久凍土の地盤を削り始めたのです。


 

 

大竹英洋さんは、こう語った。

「今回の撮影では何回も奇跡が起きました。

 カリブーの大移動や鯨との出会いなど、その最たるものです。

 これは、星野さんのスピリットが

 今でもアラスカに残っているおかげだと思いました」

 

 

 

大竹英洋さんが出演される番組が下記のようにあるそうです。

ぜひ、観たいな♪って思っています。

 

NHK BSプレミアム

ワイルドライフ 「カナダ ノースウッズ バイソン群れる原生林を行く」

2023年11月27日(月)19時30分〜20時59分
2023年12月4日(月) 08時~09時29分