『汝、星のごとく』読みました。

 

 

 

前回読んだ『滅びの前のシャングリラ』がとても良かったので

 

すぐに図書館で予約したのですが

108人待ち…。

3年くらいかかりそう…。

 

で、買っちゃいました。

 

 

 

舞台は瀬戸内の小さな島。

どんな小さな噂でも、すぐに島民に知れ渡ってしまう。

若い2人には、窮屈な思いをした島。

 

17歳の暁海。

他所に女を作った父、壊れてゆく母。

高校を卒業したら、櫂と一緒に東京へ出ていく。

そんな夢を持ちながら、

病んでしまった母を放っておくことができずに。

 

 

京都から引っ越してきた櫂。

男命の母親が、男を追いかけて、この島へ来たのだ。

男を好きになるたび、小さかった櫂を放っておき

男に捨てられるたび、櫂を縛り付ける。

現実から逃避するように、小説を書き

ネットで出来た相棒と共に、東京へ…。

 

 

 

「あいつほんま男がすべての世界で生きとるからな」

息子にそう言われる母親って…。

そんなだらしない母親を持つと

息子は、早く大人にならんといかんかったんやな。

 

最低やんかグーって思いながら読み進めてたけど。

 

 

読み終わって、しばらく経つと

この母親の弱さもわかるような気がする。

こんな生き方しかできない親だっているんだ。
 

 

印象に残った言葉。

手ぶらで生まれる子供と、両手に荷物をぶらさげて生まれる子供がいる

自分を助けてくれる親か、自分の足を引っ張る親か。

自分は免れていても、尚人のようにパートナーが荷物を持っていることもある。

できるなら、みな身軽で生きていきたい。

 

生れるとき、人にはそれぞれ与えられたものがある。

それは輝く宝石であったり、足首にはめられた鉛の球だったりする

なんであろうと投げ出せず、それはおそらく魂に組み込まれたものなのだろう

生れて死ぬまで、誰もがあえぎながら己の魂を引きずる。

 

 

「別に全部背負わんでええけどな。部分的に捨てる選択肢もあるんやで」

なんて櫂は言うのに。

 

櫂自身も母親を全面的に背負おうとする。

 

自分の人生だけを見とったら、良かったのに。

そうしたら、2人もっと穏やかに過ごせたのに。

 

 

 

精神的に弱い暁海の母親とは対照的にある、父の恋人(瞳子さん)の

生き方に、気づかされる暁海。

私は仕事をしていて、それなりの蓄えもある。

もちろんお金で買えないものはある。

でも、お金があるから自由でいられることもある。

たとえば、誰かに依存しなくていい。

いやいや誰かに従わなくていい。

それはすごく大事なことだと思う。

 

高校時代の、北原先生も。

自分で自分を養える、

それは人が生きていく上での最低限の武器です。
結婚や出産という環境の変化に伴って一時的にしまってもいい。
でも、いつでも取り出させるよう、メンテはしておくべきでしょうね。
いざとなれば闘える。どこにでも飛び立てる。

独身だろうが結婚していようが
その準備があるかないかで人生がちがってきます。

 

 

この親の元に生まれた生きづらさを抱えた若い二人が

暁海には、瞳子さんがいて、北原先生がいて

櫂には、相棒の尚人くん、編集者の植木さん、

そして絵理さんがいてくれて

 

どんなにしんどくても、どん底や、と思っても

気づけば誰かが傍におってくれる…。

 

今の時代、誰もに読んでほしい物語やな…って思いました。