『出世花』の続編、
『蓮花の契り 出世花』読みました。
(2015/6/18発行)
下落合にある墓寺・青泉寺で
「三昧聖」として湯灌場に立っていた、お縁。
遊郭の女郎だった、てまり。
火事で行方知れずになっていたが
お縁と再会…。
てまりの、ささやかな未来が見えるようで
ほっとした。
前作で再会した実母との、ひとときの暮らし。
その最中に起こった「永代橋」の崩落という
不幸な出来事。
たくさんの死者を出し、
町中が悲しみに暮れ、混沌とする中
真摯に亡骸に寄り添うお縁の姿。
最終章では、青泉寺が取り潰される危機が起こる。
立ち入りを禁じられている、公方様の鷹場(狩猟地)に
青泉寺の火屋から上がった煙が、棚引く。
それだけで住職が「お縄に掛けられる」って…。
今の時代からすれば、訳の分からぬことばかり。
こんな理不尽なことが、まかり通っていた時代。
桜花堂の主「仙太郎」も、毒殺の容疑をかけられるし。
前作で、無実の罪を被った「岩吉」は、拷問の末、息を引き取る。
平穏に生きるって、並大抵のことではなかったんだな。
今作は、前作と比べて、退屈な場面もあったけど
お縁と正念の関係性、これからの未来に、
心地よい風が吹いたみたい…。
髙田郁さんの描く女性は
温もりのある一杯のお茶が、喉を通るときの安堵感のよう。