NHK BS1スペシャル 11/6(火)19:00~

「在宅死“死に際の医療”200日の記録」 を観ました。

 

番組HP→在宅死 “死に際の医療”200日の記録

 

1つ前のブログ記事「サイレント・ブレス」を実録したようなドキュメンタリー。

ブログに書いた後、私の望むような最期は

家族の支えなしには実現は難しいかもしれない、と思いました。

 

この番組の冒頭、こんなナレーションから始まります。

高齢化が進む日本で今 一年に130万人余りが亡くなっています。

人はどこで、どう死ぬのが幸せなのか。

それを知りたくて私は取材を始めました。

 

 

小堀先生は80歳。

 (森鴎外の孫で、若い頃には東大の外科医で年間1000件以上もの手術を行ってきたという)

 (在宅医療を始めたのは、67歳の時。)

 一人一人の患者さんに興味を持つということが 

 モチベーションになっていると、仰る。

 

94歳の女性が

「(お世話になってるヘルパーさん)皆いい人です。」と言うと

 

「それは貴女がいい人だからです。

 いい人のところに、いい人が集まるの。」

「だから僕もそばに来ているんです。」 と

 温かな言葉の中に、ユーモアも忘れない。

 

 

在宅で最期を向える為には、家族の支え

いわゆる介護力が無くてはなりません。

その条件から最も遠いかもしれない家族を

私は目の当りにすることになりました。

 

 

末期の肺がんの父(84歳)を介護しているのは、娘の広美さん(47歳)

7歳の時に光を失い、全盲になりました。

 

 

小堀先生が声を掛ける。

「弘美さんは消耗してないね

消耗してない。精神が落ち着いてるね。」

 

広美さんが答える。

「でもこれは皆さんのお蔭なんです

ほんとに皆さんに父のことずっと見て頂いたり

あとは親戚の人たちが…」

 

「親戚の人がちゃんとやってくれるのは

あなたの人徳だよ」

 

そう先生が言われる通り、

広美さんの声は優しくて美しい。

どんなこともお陰様と、人の優しさに支えられて

自分も父親も生かされているんだと、いうような…。

仏さまのような娘さんだった。

 

小堀先生は、死が近いことを覚悟しなさい、と娘さんに伝える。

「朝、父親の体を触りなさい、冷たければそれはもう終わったってことだから。」

 

そして、最期を看取ったのは娘さんだった。

先生に、様子がおかしいと娘さんから連絡が入り

「まだ体は温かいのですが、言葉を掛けても返事がない。」

 

駆けつけた先生は

微かな呼吸を喉仏に感じることができるから、と

娘さんの手を父の喉元に持っていく。

 

親戚の人たちが集まり、口々に言葉を掛ける。

 

最期は家族だけで過ごしてもらいたいからと、先生は部屋を出る。

その数十分後、連絡がはいる…。

 

 時間を記録したのは娘さん。

 

本当に良かった、と小堀先生は仰る。

 

 

 

 

 

もう一人の在宅の先生は

堀越先生 56歳

 

この先生も元は外科医で、国際医療機関の医師として

開発途上国でたくさんの命を救ってきた先生です。

 

若い頃に訪れたインドにあるマザーテレサの「死を待つ人の家」 

当時は亡くなっていく人のそばに、ただいるだけということに

反発すら感じたといいます。

しかし医師として年齢を重ねる中で考えが変わりました。

 

「一人の人が死に行くところに

何にもできないけれども、そこに居ますっていうことから

ずっと逃げていた。」

 

「ずっと逃げたまま苦手だって思いながら

この先の人生をやるのか、

苦手かもしれないけど、そこに自分の身を置く。

 …そういう風にやりたいなって思った。」

 

 

子宮頸がん末期の52歳の娘を看病する母(77歳)

 どちらも辛いだろうと思うけれど

 それを受け入れていくしかないんですよね。

 

 最期までいかに辛くないか、苦しまないかを診ていくこと。

 それがターミナルケアを自宅で行うのに大切なこと。

 穏やかに最期を迎えられたら、それがきっと最良なのだろう…。

 

 

認知症が進んだ93歳の父親の面倒を見ている息子(69歳)。

一人暮らしの91歳の義父の面倒を見る、娘の夫(69歳)。

103歳の母を自宅で看ている老夫婦。

 

認知症と脊柱の病気で立てなくなり、

2年間自宅の2階で生活している妻(85歳)を一人で看ている夫(82歳)

 

年老いていくとということは、そういうことで

動けなくなって、回りの人たちに迷惑を掛けながら、

それでも尊厳を守りながら、命尽きるまで

どのように生きるかということ。

 

難しいけれど、その難しい中で

少しでもそんな仕事に携わっていることを

しっかり認識しながら、誠実に人と向き合って仕事をしようと思った。

 

私だったらどうありたいか、とか

年老いた両親とどう関わっていくかとか…。

そんなことも頭にありながら。

 

 色んなことを考えさせられる、いい番組でした。