目を覚ますと、白い部屋にいた。

僕はゆっくりと目だけを動かした。

壁もベットもテーブルも冷蔵庫もキッチンも、全部白い。


ここはどこだ・・・?


図書館でないことは確かだ。

見るとここはワンルームの部屋と言ったところか。


僕はベットから起きて、部屋のドアを開けようとした。

しかし、案の定ドアには鍵がかかっていた。


またこのパターンか・・・


キッチンの横の壁には、大きなテレビが備え付けられてあった。

テーブルにリモコンとキーボードがあった。


とりあえず、部屋の中を色々探ることにした。

何か分かるかもしれない。


冷蔵庫を開けてみた。

魚肉ソーセージとリンゴとケーキがあった。


そう言えば、お腹が空いてなかったとは言え、図書館にいる頃はコーヒーか紅茶を飲んでばかりで、固形物を食べてないことに気がついた。

たまにマリアがクッキーを出してくれたけど。


僕は魚肉ソーセージを手に取った。

急ぐ必要はないが、急いで被りつく。

あぁ、魚肉ソーセージがこんなにも美味しい物だったとは・・・

僕は軽く感動を覚えた。

この勢いで、リンゴとケーキも食べたくなった。

しかし、冷蔵庫の中が空になってしまったら、もう何も食べれなくなるかもしれない。

下手したら、もう食料はないかもしれない??

そう思うと心配で、リンゴとケーキは残しておくことにした。


キッチンには調理器具が一通り揃っていた。

流しやガスコンロは真っ白だが、フライパンや鍋等は黒かった。

包丁も、様々な種類の物があった。


しかし、調理しようにも材料がないわけだが・・・

そもそも、僕は料理をしたことがない。


トイレとお風呂はないようだ。

そう言えば、図書館でもトイレやお風呂に行かなかったな・・・

図書館では記憶の中だったから行く必要がなかったけど、ここはどうなんだろう??


僕はぼやけた頭で、なんとかここに来るまでの記憶が手繰った。


確か図書館を出て・・・

マリアと一緒に落ちて・・・


そうだ、マリア。

マリアはどこに行ったんだ!?


いや、そもそも自分が今どこにいるのかさへ分からないのに、マリアを探せるだろうか?

その前に、ここから出ることは出来ない・・・


何か情報収集出来る物は・・・


と、色々探そうとした時に、テレビが目に入った。

ニュースとか・・・やってるのかな・・・?


僕はリモコンでテレビをつけた。


テレビには「食料」「物品」「会話」と選択肢が出て来た。


テレビじゃないのか・・・?


僕は試しに食料と言うボタンを選んだ。

キーボードで入力する画面が出て来た。

試しに「カルパス」と入力してみた。

すると、冷蔵庫の中で物音がした。

冷蔵庫を開けてみると、そこにはカルパスがあった。


なるほど・・・とりあえず食料の調達方法は分かったから安心だ。


しかし、完全に安心もしてはいられない。

図書館の時とは違い、ここには現状を説明してくれる海馬の様な存在もいない。


なぜ自分はここにいるのか。

自分はこれからどうすべきなのかを考えなければいけない。


「会話」と言う選択肢を選べば、海馬の様な存在と会話が出来るのだろうか?


僕は試しに「会話」を押してみた。


マリア「あら、おはよう。今起きたのね。お寝坊さん」


大きなテレビには、マリアの顔が映し出された。

しかし、その可愛らしいマリアの顔は、僕が知ってる様で、全然知らないような顔でもあった。