紗桜未咲no上司は太った課長
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上司は太った課長 その1

私は上司に恵まれたのか、恵まれないのか?

以前、勤めていた小さな化粧品会社に突如現れた上司、太った課長42歳。

会社設立から一年、出資元から出向されて来た巨体の課長。

その風貌は、化粧品というイメージとは反比例である。

顔はニキビの跡肌、身長170センチぐらい、体重は100キロはないだろうケド・・・。

押しの強い営業と、人を威圧する話し方は圧巻で、私と事務の女性2人、課長の4人しか居ない

この事務所で、存在感はピカイチだった。
          

ポケットに小銭を入れ、ジャラジャラと音を立てながら、悠々と事務所内を歩き周る太った課長。

電話が来ると「もう忙しくて首回らないんだよ~」と必要以上に大きな声で話す。

゛忙しい忙しい”と言う人ほど仕事をしないとは、よく言ったものだ。

傍から見ると、要領が悪いだけである。

事務の二人は必要以上に太った課長を避けるものの、営業の私はそうもいかず、

打ち合わせ、プレゼン、出張と行動を共にする事が多く、特に、車の出張は憂鬱だった。

当然の事ながら運転は私だが、何よりタバコの煙とデカイ声が充満する車内は、

究極に息苦しいのだ。

しかし、長時間の密室は、話が尽きると思い出話に花が咲く。


ある長距離出張の帰り道、         

私 :「課長は以前、とんな仕事をしてたんですか?」

課長:「ミュージシャン目指して音楽やってたんだけど食えなくて、

    音楽事務所でマネージャーやってたんだよ。」
私 :「・・・(?)・・・・へぇ~!」

人は見かけに寄らないとは、まさにコノコト。

マネージャーはさておき、ミュージシャンのデブは確かに売れない。

課長:「信じられないだろうけど、今より全然痩せてたんだよ。」

 へぇ~!ますます見かけによらない。が、課長は少々調子に乗り始めた。

私 :「課長、そんなこと言って昔の写真とか持ち歩き始めたら、終わりですよ」

課長:「・・・(苦笑)」

太った課長は、自分がイイ男であるという錯覚をしている節がある。

以前からそう思っていた私は、この際なので釘を刺してみた。

以外にも太った課長の勤務先は、なかなかのアーティストが所属する事務所。

少々半信半疑だったものの、話の面白さと、苦労話に疑いの念もどこかへ消えてしまった。

夢や希望を持つ人には好意的な私は、そういう人々と話をすると時間を忘れる傾向にある。

出張帰りの気だるい車内は、かつて夢追い人であった太った課長の昔話で、

おおいに盛り上がった。

以来、太った課長の印象が変わり、同行の車内も少々気楽になりはしたものの、

威圧感ある話し方、自己満足陶酔型の性格に、悩まされる日々は変わらなかった。

つづく・・・。

社内は太った課長VS女子社員という、とっても居心地悪い不陰気にかわり、