覚せい剤取締法違反

傍聴してはじめての、女性の被告人です。

フィリピン人。42才。日本には15年以上いるので、日本語しゃべれます。

その昔、日本人の妻として入国。夫はやがて亡くなる。
再婚し、日本人夫との間に男児。その後、離婚。永住資格をとる。
現在は生活保護とアルバイトで暮らす。

自宅で覚せい剤を吸引して、逮捕される。

情状証人に、中年の男性。交際相手だそうです。
落ち着いた、かしこい感じの人でした。
意地悪くいうと、優等生の証言というか……。

6年前に知り合い、交際2年。
週1で食事や映画など、被告人の息子を交えて3人で会っていた。
フィリピンにも数回、いっしょに行っている。
被告人の息子から「パパ」と呼ばれている。
証人にとって、今回の事件は大ショック。
薬物自体わからない世界なので戸惑っている。

弁護人「別れようと思いませんでしたか」
証人「正直、ちょっと思いました。でも、いずれ結婚しようと思っていたし、子どももかわいいので、逆に何とかしてあげなきゃ、と思いました」

裁判長が「結婚」に食いつきました。
「具体的に結婚の話はしているの?」
「具体的にはまだです」
「いつごろ結婚するつもりでいるの?」
「……半年ぐらい、ですかね」
「覚せい剤について、あなたも勉強してもらえますか」
……と続いたのですが、

ってことは、法廷でのプロポーズか!!

証人は本当に被告人にプロポーズするでしょうか、この状況で。

被告人には追起訴もあるそうです。

証人が、覚せい剤のことも含めて、被告人を妻として引き受けるとしたら、
それは強い愛ですね。

そんな美談が生まれるでしょうか。
と、ひねくれてしまうわたしは、心がすさんでいるのでしょう。