台風が日本列島に近づいているとニュースが伝えていた。
天野家の電話が鳴った。
先日訪れた芸能プロダクションの妻からだった。
今、地方にいて滞在が長引きそうでとの電話だった。
「本当は直接お話しすべきことなのですが、、どうしても早めにお伝えしたくて。
ご家族にとっては身勝手なお願いだと分かっています。」
そんな前置きに大雪はなんとなく嫌な予感がした。
「ご用件は?」
「………小雪さんを養子として預けていただくことはできないかしら?」
ーーーようし?
小雪が?
ーーー頭の中が真っ白になった。
その後の声は、何も聞こえなくなった。
、、、養子。
その言葉だけが何度も反響する。
何より電話に出たことを後悔した。
聞かなければよかった。
立っていられなくなり、その場にしゃがみこんだ。
どうして?
今のままじゃ足りないの?
、、、ワタシじゃダメってこと?
いつしか雨音も強くなっていた。
雪崩がその様子に気付き声をかけた。
「お姉ちゃん、なんの電話?」
大雪は電話の内容をみんなに伝えた。
「え~それってチャンスってこと?」
「学校どうするの?」
「養子ってなあに?」
吹雪も雪崩も小雪もそれぞれの反応だった。
「ダメよ、、、そんなの。」
「でもさ、なんだか楽しそうだよね。」
(この子はもう外の世界を見てる)
(私の知らない世界を)
大雪は立ち上がると、窓を強く閉めた。
外の音が急に遠くなった。