おじいさんはやまへしばかり芝刈りに

 

ある日おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯にいきました。おばあさんが洗濯をしていると、川上からどんぶりこ、どんぶりこと大きな桃が流れてきました。…おなじみ、桃太郎のおはなしです。私のような大昔のこどもは絵本を繰り返して読んだり近所の老人のはなしを繰り返し聞いて育ちました。おばあさんは流れてきた大きなスイカを持って帰り、おじいさんといっしょに食べようとしました。すると、スイカはパンと割れて中から元気な男の子がでてきました。桃から生まれた桃太郎は元気に育ち、いぬ、さる、きじを従えて鬼ヶ島の鬼退治をしたことはよく知られた昔ばなしです。

 

一寸法師のお話は、子宝にめぐまれないおじいさんとおばあさんが、どんな小さな子でもいいからさずけてくださいと願って、願い通り指ほどの小さな子を授かりました。一寸法師と名づけて大切に育てました。一寸法師は大きな志を抱いて、お椀の船を箸の櫂で漕いで都へ上り、殿様のお屋敷につかえることになりました。ある日お姫様のお供fをして清水寺へお参りにいったとき、鬼が現れ一寸法師を飲み込んでしまいました。鬼の腹の中で一寸法師が大あばれしたので鬼は死んでしまいました。一寸法師は鬼が残した打ち出の小槌をつかって背たけをのばし、遂にお姫様と結婚することになりました。めでたしめでたしです。

 

おむすびころりんのお話しでは、おばあさんにつくってもらった弁当のおむすびをねずみさんたちに全部あげたおじいさんは、お礼にいただいたつづらをもらっていえにかえりました。なんと、つづらのなかからは宝物がいっぱいでてきました。

 

昔ばなしの主人公にはよく「おじいさん」「おばあさん」が出てきます。子をさずかりたいと願うのもたいてい「おじいさん」「おばあさん」です。昔話のおじいさんおばあさんは今の高齢者ではなく、お母さんお父さん世代を指す言葉だったようです。80歳台になった私はおばあさんと言われてももちろん抵抗はないのですが、今の時代、何歳だったらおばあさんという呼称をすんなりうけられるでしょうか。孫の誕生はひとつのきっかけになるかもしれませんが、まだ他人には言われたくないでしょう。しかし最近コロナ禍のせいでワクチン接種に関して「65歳以上の高齢者」がひっきりなしにテレビから流れてきます。65歳になったら公共のお世話になるにつけても65歳が一つのラインかもしれません。昔ばなしを素直に楽しんでいた私の子ども時代から今まで、わずか数十年の間に年齢の感じ方は、一世代50年ほど変化したようです。今月の折り図はどんぶりこと流れてきた桃です。  (2021/9/1)

〈おことわり 最近体調に不安を感ずることがありますのでブログの更新はしばらくお休みさせていただきます。元気に再会できる日を楽しみにしています。丹羽兌子〉