彼が颯真を部屋に呼んでくれた








「美紗、気分はどう?点滴、まだ終わらないから、それ終わるまでは、そのまま横になってて」



「うん。ねぇ、颯真…私と晃って…………」



「何、思い出した?」



「晃って……だれ?」



「晃は私と同い年のAの弟。私…晃の優しさを踏みにじって………最低なこと言って傷付けて……………晃に八つ当たりして…お腹の子にも…………やっぱり…私が……………私が………」



「美紗、もういい!これ以上、自分を追い詰めるな!」



「周りの人を傷付けた事実にも向き合えず、記憶をなくして、自分だけを守って、何も無かったように生きてきた。やっぱり…あの時に私の人生は終わらせてたら………みんなを苦しめなくて良かったのに……。何で……私だけ……死ねなかったの?何で……死なせてくれなかったの…?



「俺は生きててくれて………よかったよ………だから、もうやめよう」



「入るよ!聞くつもりなかったけど、様子見ようと思ったら、ヤバそうなことが聞こえてきたから、思わず声かけてしまった。なぁ、美紗、俺は怒ってもないし、あの時のことを気にしてもない!美紗が兄貴のことを後追いするつもりなのは気づいてたよ。抜け殻みたいになって、周りの声は美紗の心に届いてなかったし。でも、どんなことをしても死なせたくなかった。兄貴のそばに行かせたくなかったんだよ」



「でも……ハァハァ…晃の人格を………否定…するような……ハァハァ………こと……言ってしまったから……………」



「美紗、ちょっと休もう



「ちょっとヤバいな…。とりあえず、点滴…」



「ハァハァ……ダメ…………点滴はやめて!まだ………ハァハァハァ………晃に…………話さなきゃ…」



「発作まで出てるのに、これ以上は見過ごせない。颯真さん、お願いします



「こんな状態なのに、点滴なしってのは無理だぞ



「お願いだから………もう少し………………ハァハァハァハァハァ……………晃と…………」



「話ならいつでもゆっくり聞くから、今は休んだ方がいい」



「私…………晃に……謝らないと………あの時…










晃は人差し指は私の言葉を遮った