friday-paris 女性ファッション誌で連載されていた人気エッセイをまとめたものが本書で、TBSのアナウンサーを退職後に渡ったパリでの日常、友との出会い、小さな旅などが詰め込まれている。

海外へ留学している人のエッセイや、海外生活者のエッセイが好きである。
だからずっと、本書を読みたいと思っていたのだが、タイミングが合わず今になってしまった雨の降る日、1日で読み終えたのだが、とても面白かった。

モノクロの写真が各ページに少しあるのだが、素敵な写真だ。
その写真と、著者の真っ直ぐな文章がミックスされてすらすらと読み進めることができる。
パリで美術を学んでいる合間の小さな日常。
それが面白いし、ステキである。
蚤の市での失敗談、美味しいデザート、サーカスとフランス、マルシェでの買い物話、友達とのあれやこれや、パリでの生活の不便さと憤りのページもあれば、パリで暮らしてよかったと思っている著者の気持ちが溢れるページもある。

『決断に迷いはなかった』から『そして、今-あとがきにかえて』までは著者の結婚、パリで根を張って暮らしていくんだという決意、将来などが描かれていて年齢の近い同じ女性として共感したり尊敬したり憧れたりする言葉がたくさん詰まっていた。
もっとパリでの生活の日記的なエッセイかと思っていたが、グルメやエンタメよりも日常的な話が多かった。
旅行気分を味わう、という気持ちで読むと物足りないかもしれない。
しかし、同年代の女性の単身「遊学」~海外での結婚までの記録だと思って読むと面白く楽しめると思う。
女性向けの1冊。

まだまだやれる、楽しいことはまだまだあるぞ、と思える本だ。
そして、遊学って素晴らしいと思った。
悪く言われることもある遊学だが、無駄は無いんだなぁと感じた。
いいなぁ、と憧れていた遊学への熱が少し戻ってきてしまった。


<小学館 2003年>


雨宮 塔子
金曜日のパリ