色々な作家を味見出来るのが本書のような数名の作家があるテーマに沿って書き下ろしたものを集めた作品集だろう。
図書館で借りるものが無かったのでなんとなく手にした1冊。

様々な曲をテーマに、6名の女流作家が書き下ろしている短編集だ。
『情熱の薔薇』は真野朋子の作品だ。
翻訳の仕事をしている32歳の希和子が主人公。
来日しているイギリスのバンドのインタビューを翻訳する仕事をしたことからコンサートの招待券を貰った希和子はライブ会場を訪れるが、若者たちの波に乗れずにいる。
会場で偶然出会ったアーミーコートを着た若い男はそんなざわついたライブ会場で廊下に座り込みヘンリー・ミラーを読んでいた。
若い男が読んでいたのは【北回帰線】だった。
思わず「【南回帰線】より【北回帰線】の方がおもしろいのよね」とつぶやいてしまう。
それを聞いて驚いた若い男はライブ終了後、希和子を追ってきて一緒にご飯を食べようと誘う。
若い男の勢いに乗せられて一緒に居酒屋に入ってしまう希和子 。
若い男と過ごす夜、そしてその後の男の行動力に揺れる希和子を描く。

6つの話、どれも恋愛を題材にある曲をテーマにして綴られる。
読みきり感覚で6名の作家を楽しめるお得な1冊。

<幻冬舎 2000年>

著者: 谷村 志穂他
タイトル: ホワイト・ラブ