最近、思い出したように野中柊作品を読み漁っていた。
本書は、その中でもあまり面白くなかった1冊だ。

主人公は鹿の子。
鹿の子は日曜の昼下がりに別れた夫・ウィリーと待ち合わせをしていた。
一緒に暮らしていた頃に飼っていた愛猫「ユキオ」の命日に、「ユキオ」を埋葬した動物霊園に行く約束をしていたから。
2人は3年前に離婚し、お互い別の人と再婚している。
江ノ電に乗って腰越の霊園へと向かい、初夏の海辺でウィリーと過ごすうちに鹿の子は過去の日々や思い出を振り返る。
食事をしようということになりカフェに入る二人。
アメリカと日本でのウィリーとの生活、睡眠薬中毒になっていたこと、子供が欲しかったこと・・・鹿の子は1つ1つ思い出していく。
ウィリーから妻ジュディとの間に子供が生まれたことを告白されて衝撃を受ける鹿の子。
鹿の子と結婚している時には、子供はいらないって言っていたウィリー。
鹿の子は赤ちゃんにに会いたいとウィリーの家へと向かうのだった。赤ちゃんを抱いた時、自分が死んでもこの子が生きてくれればいいと希望に満ちた思いが鹿の子におとずれる

終わりと始まりを描いた不思議な作品。
猫も好きでは無いし、こういった元夫婦が題材となった作品にありがちな「良い関係」を扱った話も好きではない。
退屈せず読みきったが、特に面白いとは言えない作品だった。
野中柊の作風は少し変わってしまったのかな?

<新潮社 2003年>

著者: 野中 柊
タイトル: ジャンピング☆ベイビー