初めて手にした藤堂志津子の著作。
恋愛小説の第一人者と言われ、第100回の直木賞受賞受賞という功績を残しながら、なんとなく地味な印象の著者だが、著作の数は山のようにあり、本作を手にした後次々に読み漁ったのだが、永遠に読み続けることが出来るのでは?と思うほど作品があった。そんな著者の初の傑作選。

失恋しそうになったり、片想いの恋をしていると、恋愛小説が読みたくなるものではないだろうか?
そんな時に手にした1冊で、私は夢中になって読んでしまい、冒頭でも述べたとおり、著者の作品を次々読みまくった。

著者が多く出している恋愛短編集から9話を集めた傑作選。
読み進めるうちに、見えてくる女という生き物。
それが、藤堂志津子の穏やかな語り口で綴られており読み心地がいい。

巻末にある解説にもあるように、25歳にしか出来ない恋愛もあれば、30歳には受け入れられない想いが34歳で受け入れられたりもするだろう。
25歳から34歳までの恋愛が詰まった1冊。
従来にない自由な視点から適齢期と呼ばれる年齢にあたる現代女性の心理をうまく捉える恋愛小説のみの短編集と言えると思う。
恋をしたい、人恋しい、恋愛に夢中・・・恋に携わる女性は楽しめると思う1冊。

<角川文庫 2002年>

著者: 藤堂 志津子
タイトル: 藤堂志津子恋愛傑作選