藤堂志津子は好きな女性作家の1人。
殆どの著作を読んだ。
その中でも新しく文庫化された作品。

主人公、加地美波は北海道の母校~K高校~の同窓会館の管理人を勤める女性。
実母の病の為、都会での仕事を辞め故郷へ戻り看取った後、管理人を始めた。都会ではバリバリ働いていた美波だが、故郷ではのんびりと管理人という地味な仕事に勤しんでいる。

母の死という傷からなかなか立ち直れない彼女に優しく寄り添う同級生たち。
事あるごとに集う仲間達とのふれあい、その中で芽生える恋、忘れた頃に届いた元恋人の現状・・・
40代の今を生きる、そしていずれ迎える50代を想う。
美波の揺れる思いをドラマチックに描く恋愛小説。

淡々と綴られる美波の毎日が北海道の澄んだ空気のように心に染み渡る。
冬に暖かくした部屋の中で読むのに最適な1冊。

<新潮文庫 2004年>

著者: 藤堂 志津子
タイトル: アカシア香る