群ようこによくある「独身・編集者・平凡な毎日」を面白おかしく綴った最新作である。

主人公はタキタミサコ三十八歳。
通勤に便利なようにと、二年前、勤め先の出版社から2駅先に新築マンションを購入したばかり。
仕事は文芸誌の副編集長。
癖のあるアルバイト、癖のある作家連中、イマドキの娘と化した妹エリカ、母を亡くし碁会所へ通い密かな楽しみを持つ父・・・・
三十八歳のミサコの楽しみは自宅で愛猫の〝あーちゃん〟と過ごす時間。
そんな主人公の普通の毎日を群ようこ独自のコメディタッチで描く。

一気に読めて、気分も明るくなって、くすくすと笑ってしまうような微笑ましい文章が続く楽しめる長編作品である。
昨今、暗い事件や決して明るいとは言えない日々を過ごしている方がいたら、是非読んで心を軽くしてみては?
落ち込んだ時一気読みをして、気付いたら気分が晴れていたのは何を隠そう、この私だ。

<角川春樹事務所 2004年>

著者: 群 ようこ
タイトル: ミサコ、三十八歳