母親の誕生日祝いにと温泉旅行にやってきた三姉妹。長女弥生は優等生だが、美人の妹たちにコンプレックスを持ち、次女愛美はそんな優秀な弥生と比較されてきたのを逆に恨めしく思っています。母親と同居している三女清美は何かサプライズを考えている様子。愛美がアレンジした宿が気に入らない弥生は、着くなり文句たらたらで、さっそく姉妹喧嘩が始まります。
強烈な夫婦喧嘩の作品は観たことがありますが、ここまでの姉妹喧嘩は初めてかも。もとは舞台劇だというのがわかる、丁々発止のやり取りが面白かったです。観ているうちに、ここまで言い合える関係が逆にうらやましく思えてきました。
もう一つ舞台劇らしいなと思ったのは小道具の使い方。温泉饅頭、千代紙の折り鶴、ちょっとしたことから会話が発展していくのも上手いなと思いました。
肝心の母親は登場しないのですが、3人の話からその姿が浮かび上がってくるのも興味深かったです。人生に文句たらたらの母親のようになりたくないと三人とも思いつつ、結局は母親と似ているところがあるのに気づかされて反論して……それでも堂々巡りにならない脚本ご素晴らしいなと思いました。
三姉妹を演じた俳優さんたちが、皆さんはまっていました。江口のりこさんはしっかり者なのにどこか抜けている感じを上手く出されているし、内田慈さんは舞台でも愛美を演じたというのに納得です。清美役の古川琴音さんが末っ子の実は計算高そうな所をさりげなく出しているのも良かった。あと清美の彼氏役青山フォール勝ちさんが、誠実そうでトボけている役どころに合っていて、盛大な喧嘩の合間におかしみを醸し出してくれました。
家族でけんかして落ち込んでいる時に観たら、スカッとした気分になれるかもしれないと思った作品でした。
シネマナビ!で印象に残った一言:
「しつこく言うけれど、本当に脚本がいいですよね。昔のつかこうへいさんの舞台を観ている時の感覚を思い出しました。」
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